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2006年2月22日 (水曜日)

魔弾戦記リュウケンドー

正直、とても評価に苦しむ一本である。

ヒーロー、メカデザインともに視聴者の目を惹く魅力に欠けるし、キャストは東宝特撮とはまた違った意味で微妙なライン。清水圭や細川ふみえ、佐藤寛子など、主役の二人を除いては既存の知名度あるどこか外した人材を多用している辺り、この番組のキメラ的かつ適当な性格を象徴している。

宇宙怪獣ギララの昔から、松竹の制作する特撮作品はヌエ的かつキメラ的なものでしかなかった。自前の特撮の伝統がついに育たなかった会社であるからそれも已むを得ないのだが、すでに松竹という大本の映画会社自体が自社制作部門を切り捨てている。

「SHINOBI」の詐欺紛い商法の件では映画ファンの映画制作への想い全般を踏みにじるような蛮行に他人事ながら憤ろしい想いを喫したのだが、まあそれは言うまい。だが、ここ数年の松竹の企業姿勢には非常に胡散臭いものを感じていただけに、東宝が超星神シリーズでまあまあ成功を収めたのをなりふりかまわずパクるつもりかと、いい印象は持っていなかった。

実際スタッフクレジットを視るに、監督陣はウルトラ造反組だし、メインのホン書きはどこにでも顔を出すあの先生だし、要は東映、東宝、円谷辺りのニッチででっち上げた外人部隊の独立愚連隊である。ますますイヤな予感がヒシヒシとこみ上げてきた。

案の定、第一話を観る限り仕上がりは散々なものであって、何がやりたいのかサッパリわからないどうしようもない糞番組に見えた。だが、それが、二回、三回と話数を重ねるに従って、どんどん印象が変わってきたのである。

特撮ファンの間では忘れ難いトラウマとなっている川崎郷太の復活は、また裏切られるのがわかりきっていながら期待せざるを得ないし、蓋を開けてみたらやっぱり裏切られたわけだが(木亥火暴!!)、それを見続けていると、これはこれで独自の世界観で統一されていることに豁然と気附かされた。翻って川崎郷太のヌルいバカ演出も、この世界観に絶妙にマッチしていたように思えるから不思議である。個人的には最近の辻野ローテの二本が、この番組の微妙な世界観の完成形という印象を受けた。

もちろん、この番組がいかなる意味でもガラクタでしかないことは覆しようがない。

無駄に多い登場人物を捌き切れていない印象も強い。無駄に凝った設定がギャグにしかなっていない。特撮ヒーロー番組としての魅力を十全に発揮できているとは思えない。変身バンクも技バンクも間合いが間抜けで、アイテムを効果的に活用していない。

当たり前の意味では肯定的に評価できるポイントが何もない。

だいたい、「でれきでれき」って何だよ、おまえは北海道人か(木亥火暴!!)。

だが、まったく期待せずにこの番組を漫然と観ていると、何か脳内のタガが外れて妙な汁がダラダラ締まりなく出てくることもたしかである(木亥火暴!!)。微妙なお茶の間感覚とともにドラマツルギーも剣流星も忘れてゴチャゴチャしたご町内ヒーロー物の未整理で混沌とした世界観の直中に入り込み痙攣的に笑っている自分に、ハタと気が附いたりするのである(木亥火暴!!)。

正直、これを企画した人間は誰に見せるつもりで番組を作っているのかサッパリわからない。だが、無駄に凝った設定と寄せ集めの人材の無計画な綜合として、わけのわからないパトスが迸る混沌とした独自の世界観が成立していることはたしかである。

原田昌樹と川崎郷太という、ウルトラきってのコメディ志向の演出者が初期に携わったという理由も大きいだろうし、この二人の演出者が強烈にコメディを志向しながら肝心の笑いのセンスが窮めてサムいこととも無関係ではないだろう(木亥火暴!!)。

とにかく、スタートライン的には、東映「ではない」、東宝「ではない」、円谷「でもない」という、背理法的なニッチをベースにしていながら、価値的評価はさておくとしても、たしかに「そのどれでもない何か」としての語り口が、多分に偶然のゆえに成立しているとはいえるだろう。

子どもたちがリュウケンドーを見て「格好いい!オモチャが欲しい!」と思うかどうかは微妙だし、これが松竹の新たなビジネスラインとして成立するかどうかもさらに微妙だとは思うが、大人の特ヲタが日曜早朝にすべての浮世のしがらみを忘れて脳内のタガを全開放して変な汁を垂れ流しにするという、窮めて微妙な特撮映像娯楽の在り方を確立したことは間違いない(木亥火暴!!)。

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