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2006年3月 6日 (月曜日)

魔弾戦記リュウケンドー 第9話

そう来ましたか。

清水厚ですか。

正直、十分に予想された人材ではあるのだが、まさか本当に来るとは思わなかったな。これでこの番組のカラーは本格的に決まってしまったと視ていいだろうな(笑)。

みなさんは清水厚を識っているだろうか。佐伯日菜子版及び上野なつひ版「エコエコアザラク」や「仮面天使ロゼッタ」、TV版及び劇場版「ねらわれた学園」など、テレ東深夜の特撮・ホラー系番組を中心に活動し、劇場作品も何本か監督している。

作風を一言でいうなら「厨房の悪ふざけ」である(木亥火暴!!)。

「ねらわれた学園」の撮影においては、村田和美が鼻血を噴く場面に拘り、助監督を押し退けて村田の鼻に通した血糊のチューブを清水自ら吹くという変態ぶりを発揮し、宇宙船誌上の村田和美と馬渕英里何の対談で「キ○ガイ」呼ばわりされたという輝かしい経歴を持つ。

また、「仮面天使ロゼッタ」においては、今や闘病アイドルとして押しも押されもせぬ独自のポジションを築いた吉井怜に牛乳ゲロを吐かせる、敵女性怪人を半狂乱でムチ打たせた挙げ句怪人に失禁させる、スーツアクトレス永嶋美佐子が超ミニコスチュームで演じたロゼッタのパンストの上から白パンツを履かせた股間を真下からアオる、剰え敵怪人がロゼッタにカンチョーを喰らわすという、厨房の股間を鷲掴みにする直截なエロ表現で深夜枠としてはまずまずの視聴率をあざとく稼いだ前科も持つ(木亥火暴!!)。

一方では枯れた日本の原風景に拘る側面もあり、都電や神社の境内、寂れた裏町などの侘びた風景を好んで撮りたがり、しかもそれが作品や個別のエピソードの性格とマッチするかどうかという視座とは無縁である。ロゼッタ最終回において何の脈絡もなく「あしたのジョー」力石戦の実写的再現に拘ったという逸話に、物語とは無関係な視点から拘りを通すという性格がよく顕れているだろう。

コダイ関係者でもあるので、中途半端かつ唐突に実相寺的な絵を作る場面もあるし、大本の部分の意味否定の精神は実相寺の中途半端な影響だろう。今回のエピソードでも、窓に反射した逆光の演出やレフ板使い、手前と奥の見え方や夕陽のとらえ方など、随所に実相寺を思わせる絵が頻出するが、これは見た通り実相寺の影響である。

仄聞するところによると、撮りは早いほうであるらしい。エピソード全体に亘って何らかの拘りをもって演出するタイプではなく、撮影全般拘りなくスケジュール通りに撮る代わりに、前述のような無意味な一点の拘りを貫くという性格らしい。それがゆえに、低予算の深夜枠ドラマの現場ではそれなりに重宝されていたそうだ。深夜ホラーにおいて、鼻血や都電に拘るだけならどうという不都合もないからである。

吉井怜に牛乳ゲロを吐かせたのは最終回一本前のエピソードだが、実際にそのカットを撮影して次回予告にまで入れておきながら、事務所サイドのチェックが入ったのか不要と判断して自主的にカットしたのかは不明だが、実際の放映では吉井の牛乳ゲロ映像が流れることはなかった。その代わりなのかどうなのか、そのエピソードで彼が拘ったのは、保健室の女性養護教諭に化けた怪人が吉井怜にコブラツイストをかける場面だったという(木亥火暴!!)。

ちなみに、その怪人はお察しの通りコブラ怪人である(木亥火暴!!)。さらに、仁王立ちのロゼッタに真下からカンチョーを喰らわせたのもその怪人である(木亥火暴!!)。

さらにはOV版の「漆黒のフレイア」においては、ロゼッタの初登場場面が月を背負ってパンツ丸出しのM字開脚で降ってくるものだったり、公園のド真ん中でセックルしていたDQN女が、やっぱりB地区とパンツを丸出しにして怪人に頭から喰われたり、主人公の憧れの教師が女子生徒の上履きを集めて臭いを嗅ぐ変態だったりと、やりたい放題の厨なエロ描写を爆発させて純な特ヲタの顰蹙を買ったものである。

たしかに深夜特撮・ホラーにおいてはお色気描写は重要な要素である。わざわざ子どもをオミットしてヤングアダルト層にアピールする時間帯でやっているのだから、派手な残酷描写と並んでエッチな絵面も押さえておくのは正論ですらある。

殊に清水が活躍した九〇年代後半は、猟奇的な事件が頻発し映画やテレビのスプラッタ映像の影響が喧しく論じられていた盛りであり、「臭い物には蓋」という体質のテレ東は相当残虐描写には過敏になっていた頃である。スプラッタがダメなら、せめてお色気で数字を稼ぎたいというのも人情だろう。

問題は、清水厚のお色気感覚というのが「厨房が女の子を困らせて喜ぶ類」の、ある種幼稚で攻撃的な性格のものだということなのである。鼻血とかゲロとかカンチョーとかの感覚なのである。同時期に活躍した上野勝仁の、パンツの股間にわざわざ一灯当てるようなオヤジ臭いエロ感覚にも辟易したが、清水の場合、厨房臭いのが妙に恥ずかしいのである。誰もが厨房時代に通った道を、いい年をした大人になって突き附けられてしまうのである。ああ、恥ずかしい(木亥火暴!!)。

このようにして、かつて深夜特撮・ホラーを中心に厨房ぶりをいかんなく発揮した異才清水厚ではあるが、最近は専ら「清水崇と間違えやすい」ということだけをウリに識らないうちにこっそりB級ホラー映画やVシネを撮っていたりするくらいで、テレビ特撮の世界ではめっきり名前をみなくなった。

特撮を愛する者の一人として、この男の名前を見なくて済むようになったのは嬉しいことだと常々思っていたのだが、まさか、今になってこのような場で彼の名を再び目にすることになろうとは……

さあ、こういう事前情報を元に、今週のリュウケンドーを観てみよう。

……違和感ないじゃん(木亥火暴!!)。

考えてみれば、くだらない悪ふざけも侘びた町並みの風景も、この番組に限ってはいつものことなのだから特筆に値しないのである。残るのは厨房臭いエロ描写だが、怪音波でのけぞって倒れた佐藤寛子があわやミニスカの裾を割ってパンツ全開なのか、偉いぞ清水、と期待を匂わせながら結局そこまでできなかったのは、この男の小物なりの限界というやつだろう(木亥火暴!!)。

まあ、あえて序列を附けるなら、平成ウルトラ全般でそれなりのポジションを占める原田昌樹、ティガ及びダイナで鮮烈な印象を残した川崎郷太、不思議コメディや戦隊で一定の評価を得ている辻野正人に続いて投入された人材が清水厚であるというのは、枠の性格を考えればそんなもんかと思わないでもない。

辻野を除いた人材が、円谷・ウルトラを核とする微妙な距離感を持った人脈、マックス以降の現行ウルトラと微妙にバッティングしないメンバーであることを考えると、次に来るのは根本実樹辺りになるのだろうか。ネクサスの主力監督でありながら、マックスにいっさい関係していなかった北浦嗣巳辺りも、メビウスに入ってないとすると何か危ない気がするが(木亥火暴!!)。

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