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2006年3月 3日 (金曜日)

ヒヒイロ「ノ」カネ

弾みというのはあるもので、今週はついでに高丸ローテの残りの一本についても書き上げてしまって、Act.47に少し手を着けたところで勢いが止まった。 まあ、せっかくの美奈子の花道なのだから、勢いで書き飛ばすのではなく腰を落ち着けてじっくり来し方を振り返るほうがいいだろう。

Act.47の手が止まった後に何をしていたかといえば、調べ物をずっとしていた。

他でもない、今年のライダーは例年に比べて無闇にライダーの設定が凝っているという噂なのだが、たしかにテレ朝公式サイト所収の紹介記事を読むと、妙な厨 臭さがぷんぷん臭ってくる。

マスクドフォームについては「ヒヒイロノカネ」と言う未知の金属で製造された「マスクドアーマー」が全身を被った姿で、ダイヤモンドの刃でも傷一つ付けられない。また2.4mの強化コンクリートを破壊する貫通爆弾でさえも防ぐ完璧なヨロイ。肉弾戦闘力に優れている。としており、以下例年どおりのスペックが並ぶ。ライダーの各部にポインタを合わせるとポップアップで以下のようなキャプションが出てくる。

いわく頭頂部、両肩の「ラングスリット」より空気を取り入れ気体分離させて高圧縮酸素へと変換して体中の酸素濃度をUPさせると「オキシジェンバルブ」などを通して全身に行き渡らせる。資格者を活性化させ、マスクドライダーシステムを縦横自在に使いこなせるように超人へと導く。

いわくマスクドアーマーはファンデルワールス力という電気的な力により分子結合をしている。また、キャストオフによってマスクドアーマーは初速2000m/sで吹き飛んで近くにいる敵にダメージを与える事が出来る。

また、ライダーフォームについてはキャストオフしてマスクドアーマーが瞬時に弾け飛び、顎のローテートを基点に「カブトホーン」が立ち上がった姿。瞬発力、格闘戦に優れている。またタキオン粒子が体を駆け巡って、時間流を自在に行動できるようになり、ワームに対抗してクロックアップする能力を有する。としており、同様にスペックが並ぶ。

いわく「ライダーパーム」高周波が掌より放たれており、主武器カブトクナイガンやエクステンダーのハンドルを握る際には圧着してフィット感を増している。また、タキオン粒子をカブトエクステンダーに送り込み、クロックアップに同調できるようにすることも可能。

いわく「サインスーツ」は50口径の機関銃の掃射の衝撃も吸収し、5000℃の高温、絶対零度の低温などからも資格者の身を守る。頭頂部から取り入れ、変換された高圧縮酸素が快適な温度、湿度で常に全身を駆け巡り、資格者の体温を一定に保っている。また、スーツ自体に備わる無数のニューロン細胞をシナプスで繋いで資格者に伝達、まるで第二の皮膚のごとき感覚で資格者はマスクドライダーを扱うことができる。

いわく軽量、頑強な「ライダーアーマー」は「レスポンスバンド」で繋がれており、肉体の反応速度をじんぞうてき※ママに0.05秒と、常人よりも格段に速くする(通常時間時)。足、腕の「インセクトリング」は資格者の動きを強化補助して、通常人の何倍ものパワーを与える。

いわく「ライダーストンパー」はカブトゼクターでチャージアップして送られてくるタキオン粒子を波動に変換してライダーフォームの主体技であるキック力を高める。時空を自在に動き回る敵にたたき込んで原子崩壊、消滅させる威力を秘めている。

ざっとこんな塩梅であるが、詳しくは概サイトを実際に視ていただくとしよう。

ある意味ツッコミどころ満載という印象だが、この廿一世紀の現代において堂々とこのように書いてあるのだから、おそらく自信があってのことであろう。

科学についてはブルーバックス程度の知識しかないオレのような門外漢が、「イッパンタイシューのユルい科学ジョーシキ」で迂闊に突っ込むと、かえってこちらのボロが出るかもしれない、そこから一段ヒネってオレのような昔ものが識らない最新の科学知見が盛り込まれているのかもしれない、そんな不気味さをすら感じる(木亥火暴!!)。

だが、こういうブログを始めた以上、勇気がなくて普通のヒトが突っ込めないようなポイントをあえて論じて恥をかくのも、我から求めた業というものである。一応詳細にこれらの設定を視ていこうと思う。

まず、マスクドライダーシステム装着者の肉体自体を活性化する原理として「高圧縮酸素」の活用が挙げられているが、そもそも高濃度の酸素が生体にとって毒であることは博く識られている事実である。

純酸素の摂取による酸素中毒についてはもちろん、その主原理は不明ながら高圧縮酸素の体内循環によって超人化するというのだから、その無理矢理な肉体強化プロセスにおいて大量の活性酸素が生じるのではないだろうか。活性酸素が人間の身体にどのような悪影響を及ぼすかは「あるある大事典Ⅱ」でも参照してもらって精々過剰に怖がってもらうこととしよう(木亥火暴!!)。

すなわち、普通の意味では高圧縮の純酸素を呼吸することは肉体に対して害悪である。その行為自体によって肉体が強化乃至運動能力が活発化されるという話は聞いたことがないので、何らかの原理によって肉体を強化するプロセスにおいて高圧縮の酸素が必要なのかもしれない。つまり、それ以上の説明がない以上、この部分の読解はこれで頭打ちであるということだ。

次に、マスクドアーマーがファンデルワールス力によって分子結合しているというのも窮めて胡乱な説明である。ファンデルワールス力というのは、概説書などでは「ものとものがくっつき合う力」の中でいちばん弱い力というイメージで説明されている。

タームに不正確な部分があるかもしれないが、要するに、分子内における電子の位置の偏りによって瞬間的な電荷の不均衡が起こり、隣接する分子との間に電気的な引力が生じるというような理屈だったかと思う。たとえば、電気的に中性な分子でもある瞬間に右側に電子が偏って存在すれば、右側が−、左側が+の電気を帯びる。その分子の左側が+になった結果、その分子の左側にある分子の右側が−になり分子相互に引き合う力が生じる、右側はその逆と、ざっとそういう理屈なのだそうだ。

これ自体は共有結合やイオン結合に比べて非常に弱い力であるが、分子量が大きくなれば単純にその分強くなるということなので、分子量の大きな分子についてはそれなりの大きさの「くっつき合う力」が生じるらしい。

ファンデルワールス力自体に関してはそんなところだが、問題は、これがなぜマスクドアーマーの設定に用いられているのか、キャプションの説明を読んだだけでは理解できないということである。

「マスクドアーマーはファンデルワールス力という電気的な力により分子結合をしている」とあるからには、アーマーの材質自体がファンデルワールス力によって結合している高分子であるという意味で、アーマーのパーツ同士がファンデルワールス力を接着剤のように用いて結合しているという意味ではないということになるのだろうが、だとすれば、ファンデルワールス力はアーマーの物性的アドバンテージを説明するタームではないということにならないか。

少なくとも、ファンデルワールス力によって結合している、「だから」このような驚異の物性的アドバンテージが得られるのである、という説明にはならない。しかし、事実として、アーマーの材質を説明するタームは、「ファンデルワールス力」しか与えられていないのである。

釈然としないものが残るが、それ以上の説明がないのであるから、これもこのままにして次に行こう。

上記引用におけるライダー設定上の画期は以下の説明であろうと思う。「タキオン粒子が体を駆け巡って、時間流を自在に行動できるようになり、ワームに対抗してクロックアップする能力を有する」。つまり、オレが識らなかっただけかもしれないが、カブトにおけるクロックアップとは、「物凄く速く動いている」「認知力が物凄く速くなっている」という原理に基づくものでは「ない」ということである。

タキオン粒子というのは、どんなに減速しても常に超光速であり光速以下になることはなく、エネルギーを失えば失うほど加速していくという、ジェラルド・ファインバーグによって提唱された仮想上の粒子である。数々のSF作品において当たり前のように使用されているタームなので、SF用語という以上の突っ込んだ理解は必要ないと思うのだが、まあ当たり前に考えても、「タキオン粒子が体を駆け巡る」ことで生き物が超光速で移動できるようになるとは考えにくい。気の利いたSFなら生体の運動能力と関連附けてこのタームを扱うようなことはしないだろう。

タキオンとは、たしかに「速い」という意味の言葉である。だがその速さは「人間の運動能力の○○倍で動く」というようなレベルの速度ではない。超光速であって超高速ではない。だから、どういう原理でタキオンが人間の運動能力を加速するのか、ということを考える以前に、マスクドライダーシステムにおけるクロックアップのイメージというのは、通常とは別の時空間にシフトするというものなのである。

そして、クロックアップ時の戦闘においてライダーとワームの速度が対等であるということは、ワームのクロックアップもこのレベルのものだということであり、単に運動能力や認知力が連続的に加速されているというレベルのものではなく、超光速の次元へ断絶的にシフトするということである。

つまり、ゼクトルーパーは「動きの速さについていけない」のではない。「光速以下になることがない」通常とは別の時空間から一方的に攻撃を仕掛けてくるのだから据え物斬りも同然であり、通常の時空にいる限り勝てるはずがない。ワームから視たゼクトルーパーは、停まっているように「見える」のではなく、実質的には停まっているのとほぼ同義なのである。

そもそもこのような事態が、科学考証的に成立可能かどうかを問うのは意味がないだろう。そんなことを言い出したら、クロックアップ時の通常空間は、ニュートン物理学の範疇で考えるなら「物凄く固い」空間であって、身動き一つとれないことになる。

それでもあえて動き回るのであれば、04のエピソードにおける雨中の戦闘はおろか、通常の大気中を移動する場合だってほぼ静止している空気の分子(というものがあり得るとして)や埃と極大レベルの相対速度で衝突していることになるのだから、空気抵抗がどうのこうのという次元の話ではない。いわんや、通常の時空間にいる人間をかついであんな距離を移動するとなると、死ぬとか死なないとかいう話ではなくて、死体が通常空間視点で物理的にどうなるのかをイメージするのも困難になる(木亥火暴!!)。

しかも、それだって「超光速」を桁違いに割り引いて通常の現実感覚に附会してベタにイメージした場合の話であって、「超光速」である以上それ以前に因果律が確実に破綻するはずである。

タキオンのパラドックスとして有名なのは、もしもタキオンを通信手段として用いるのなら、原理的にはこちらが発信する前に先方が着信してしまうというものがある。因果律というのは光速度が不変であることと密接な関係があり、光速を超えるということは人間が現実の在り方として直観的に把握可能な因果律を超越するということだ。あくまで「超光速」にこだわるなら、クロックアップ時空間から視た通常空間は「ほぼ静止している空間」どころか、物凄い勢いで時間が逆転している時空間である可能性もある。

さらには、超光速で移動している物体については、双方向的な意味で可視性をどのように捉えるのかという問題だってある。なにをいうにも、光より速く動いているのであるから、光に基づく認知手段である視覚は、その場合各々の系においてどのような在り方なのか、具体的なイメージとして想像すらできない。

以上のような指摘は、あくまで門外漢が現実感覚の延長上で喩え話としてイメージしているだけで、もっと厳密に考証するなら、すでに現実感覚でイメージし得る限度を超えてしまうだろう。要するに、クロックアップをマトモに考察するなら、そんなものは映像として成立するはずがないということになる。

だからダメ、が結論ではない。高圧縮酸素だのファンデルワールス力だのタキオンだのというのは、何も「説明」していないということである。この設定を担当した文芸担当者…恐らく白倉と米村もその一員だろうが、彼らが途轍もない電波さんでもない限り、それらのタームは「説明」のために挿入したのではないということである。

仮面ライダーカブトという作品における中心的なアイディアである高速戦闘が、白倉の言うようにいかに「その辺の場所」で「人知れず」戦うか考えた結果にすぎないのであれば、それは「趣向」にしかすぎないのである。いわばウルトラマンネクサスのメタフィールドやガガガのディバイディングドライバーに近似の物語要素でしかない。

日常空間とは隔絶した戦闘空間の形成を「時間を停める」というアイディアに求めたのであれば、実直な科学的考証は諦めねばならない。なぜなら、オレたちが生きるマクロな現実においては時間が停まることなど普通はあり得ないからだ。

ただし、この問題を論じる前に少し触れたように、なぜ連続的な加速ではなく異なる時空間というアイディアを選んだのか、そこに鍵があるのかもしれない。

この作品の設定には、アルフレッド・ベスターの「虎よ、虎よ!」から多くのイメージが拝借されている。「ジョウント」というタームは吾妻ひでおの「不条理日記」に出て来る「青ジョウント」で有名になったが、ベスターの概作品固有のタームである。

「虎よ、虎よ!」は、人類一般の普遍的能力として「ジョウント」というテレポーテーションの一種が獲得された世界を前提にしているが、この能力には制限があって、既知の場所へしかテレポートできない。未知の場所へテレポートすることは「ブルー・ジョウント」といい、ブルー・ジョウントから戻ってきた人間は一人もいない。これを「青色申告」にかけて「青ジョウント」としたのが不条理日記のネタだが、カブトではこの「ジョウント」を直接引いているのみならず、概作品には「加速装置」のアイディアも盛り込まれているのである。

石ノ森章太郎の「サイボーグ009」の加速装置のアイディアはこの作品から戴いたものだろうが、「機械的技術による運動能力の加速」「認知力の電気的活性化」の二本柱で人間の運動能力を加速するというアイディアは半世紀前にすでに創案されている。もっと遡れば、H.G.ウェルズの「新加速剤」という短編があり、こちらは「不思議な薬品」で人間の運動能力や認知力が加速して主人公以外の人間が停まって見えるというアイディアである。

カブトで唐突に「ジョウント」というタームが出てくるのは、加速なのか時空間のシフトなのかという問題と密接に関係しているというのがオレの目串だ。恐らく設定者のイメージ的には「虎よ、虎よ!」の加速装置が原イメージとしてある。その目配せとしてジョウントというタームが用いられているのだろう。

通常の時空間と隔絶した時空間にシフトするのではなく、運動能力および認知力を通常の人間よりも加速すれば、相対的に周囲の時間は停まって「見える」。運動能力だけではダメで、思考速度や認知力も加速しなければそうならない。思考の速度や認知力は大雑把にいえば神経細胞の化学的電気的な伝達速度、外部刺激の受容器官の生体的構造に制限されているのだから、これを人工的にもっと速い伝達手段や高感度のセンサーに置換する、というのがサイボーグ方式だ。

もちろん、これだって厳密に考証していったらいろいろ無理があるのだが、それを言い出したらSFが成立しない。そこまで考えるなら、SF小説ができる前に現物ができてしまうだろう(木亥火暴!!)。

要するにSF考証というのはどこで「説明」を胡麻化すかという見切りの問題であり、その作品が発表された当時の一般的な受け手がどこまでの説明を要求するか、というアクチュアルな科学民度の問題でもある。

ここでようやく本題に戻るのだが、今現在のSFファンの科学民度においては、相対的に時間が停まって「見える」というのならまだしも、別の時空間にシフトするという原理についてはある程度の説得力を持つ科学的な説明など不可能なのである。あり得るとすれば、それは有無を言わさぬ説明放棄である「超能力」でしかない。

だから、ワームがクロックアップするのはいいんだ。「超能力」だから(笑)。

それに対する科学的な対抗手段であるはずのライダーシステムのクロックアップが時空間シフトであるのは、普通に考えて穏当な理屈など附かないのである。だとすれば何故加速装置という方向性もあるのにあえて時空間シフト方式を選択したのかが不思議なのである。

考えられるのは、「やっぱり改造はヤバイよね」ということぐらいだ。どんなに天道が肉体を鍛えていても、外から装置がくっつくだけでは思考速度や認知力まで加速はしない。くっついた機械が物凄い速度で動くのだとしても、天道が人間である限り肉体がそれに対応できるはずがない。勢い、何かヤバイものを注入するか、どこかに何かを差し込むか、そもそもカラダをいじって機械を埋め込むかしかない。

これがいかん、どうにかくっつくだけで速くなるわけにはいかないのか、ということを考えるなら、そもそも装着者が局在する時空間自体が加速されたものなのだよ、ということなら、カラダをいじらなくてもギリギリ大丈夫である。

だいたい、仮面ライダーというのは科学考証的には全然ユルくてOKなカテゴリーなのであるから、科学考証のリアリティを重視してテレビ的なアクチュアルな問題を犠牲にするのは本末転倒なのである。

つまり、カブトの設定は大本からしてSF的には無理筋なのである。運動能力や認知力が加速するという、まあまあサイバー的にはリアリティのある段階を飛び越えて、時空間がどうのという「そっちへ行ってはダメだ」な方向を選んでしまっているのであり、その理由は多くの人が視聴するテレビ番組だからなのである。

だから、ライダーシステムの公式設定に小難しいタームがたくさん混ざっているからといって「今年の設定は凝っている」などと勘違いしてはいけないのだ。それらの小難しいタームが何一つ具体的に「説明」していないことは先ほど視たとおりなのである。

たとえばそれ以外にも、カブトエクステンダーの設定には「マイクロ波放電式イオンエンジン」という小難しいタームが出てくる。「ECR放電によるプラズマを生成してイオン加速による超スピード走行が可能」など、何がどうしたのかよくわからないとても難しい「説明」が書いてある。でも、これだって難しく考える必要はない、ネット時代に相応しく文字打ちの労を厭わずググってみれば一発で意味がわかる。

ECR放電とかプラズマ生成の意味がわかるということではない。要するに「マイクロ波放電式イオンエンジン」というのは「最新型のロケットエンジン」だということがわかるのである。つまり、カブトエクステンダーというのは「最新型のロケットエンジン」を積んだバイクだという意味である(木亥火暴!!)。

これが「原子力エンジンを搭載し時速500kmで突っ走る」とどこが違うのか。ECR放電によるプラズマ生成の意味などわからなくても、惑星探査に必要とされる大出力のロケットエンジンだという意味はわかる。

高圧縮酸素だとかファンデルワールス力だとかタキオンだとかマイクロ波放電式イオンエンジンだとかいうのは、つまり「原子力エンジン」同様「イメージ」付加の小道具にすぎないのであって、「説明」する気なんかハナからないということなのである。

そんなものはヒヒイロノカネにすぎない、というのが今回のキメ台詞ね(笑)。

カブトの設定中で最も頻出するタームがこの「ヒヒイロノカネ」というマテリアルである。名前からすると、要するに赤い金属のことであり、実際カブトやカブトエクステンダーの赤い部分には漏れなく「ヒヒイロノカネでできている」という解説が付されている。浅学にしてオレは「ヒヒイロノカネ」が何であるか識らなかったのだが、どうやらネットを見回すとかなり多くのファンがこのターム自体にウケている。

それらのサイトによれば、ヒヒイロノカネの元ネタとなっているのは「ヒヒイロカネ」というシロモノらしいので、ネット時代に相応しく文字打ちの労を厭わずさっさとコピペしてググってみたというわけだ(笑)。

…ああ、識らないのも当然だよ(笑)。ガキの頃、折しも大ブームを迎えていたノストラダムスの大予言を真に受けてバカをみたトラウマのせいで、オレはトンデモ一般に対してアレルギーがあるのだが、そのせいで「ムー」などの雑誌をいっさい読まずに大人になってしまった。これがヲタとして偏跛なのは重々承知しているので、これからは心を入れ替えてトンデモに理解を示すようにしたいと思うのだが(木亥火暴!!)、どうやらヒヒイロカネというのは一般に古史古伝と称されるカテゴリーの代表格と視られる竹内文書に出てくるオリハルコンのような超物質らしい。

竹内文書についてはガキの頃にチラッと耳にしたことはあるんだが、何でも超古代がどうしたとか真の皇統譜がどうしたとか、スメラミコトが天浮船で全世界を平和に統治していたとか、キリストや釈迦が日本に来て骨を埋めたとか、そんなような話だと聞いたので、まあ一生関わらないでもいいかなと思ってそのままにしていた。

しかし、このありがたいネット時代には、文字打ちの労(略)だけでたいがいのことはわかるのだから、面倒がらずに調べてみようと思い立った。まあ、結果については詳細に陳べるまでもあるまい(笑)。「ヒヒイロノカネ」という検索ワードでここにたどり着いた人なら、すでにいくつか詳細な解説を目にしていることだろうし。

何より肝心なのは、ヒヒイロカネを伝える竹内文書という伝書については、すでに戦前に僅か五枚の写真を元に碩学狩野亨吉による偽書鑑定が下されているということだ。トンデモに対して無知なオレが識らなかっただけで、ガキの頃オレが竹内文書の名を耳にした時点ですでに竹内文書が新興宗教教祖の手になる偽書であることはほぼ証明されていたのである。

それ以前に、内容面を視るにこれ以上ないほどのトンデモ超古代文明史が語られているわけで、内容面をそのまま受け取る信者以外の一般人などほぼ皆無であったわけだ。

ああ、こんなもんといっさい接点を持たずに大人になって良かったなぁ(木亥火暴!!)。

閑話休題、だとすれば、ヒヒイロカネというのは、オリハルコンのように一般的にSF的な超古代史ネタとして受容されているアイテムではなく、特定個人の妄想に基づく創作であり、いわばオリハルコンの出来の悪い焼き直しであると博く一般に認知されているアイテムなのである。

じゃあ、なぜそんなアカラサマに胡散臭いタームが、この廿一成紀の世の中に、特撮の新番組の中で亡霊のように蘇ってこなければならないのか。たとえば劇中現実として、カブト世界の中のライダーシステム技術者は何を思ってそのような不適切な名称を輝かしい将来性を持つ新素材に与えたのであろうか。

答えは簡単だ。そんなことを考える必要はないのである。

「ヒヒイロノカネ」すなわちヒヒイロカネという名称が無造作に用いられているのは、何でもアリの嘘っぱちですよという合図にすぎない。オリハルコンならまだしも、ヒヒイロカネというのは、特定個人の妄想に基づく造作であると大多数の日本人が考えている。ヒヒイロ「ノ」カネすなわちヒヒイロカネという目配せに気附くほどの人であるなら、竹内文書とは何であったかを識っている。

狩野亨吉に竹内文書の「著者」と同定された竹内巨麿の興した天津教自体は現在も存在するそうだが、その教団とは無関係な一般人にとっては、特定宗教の教典内の文言であるにすぎない。ざっくり言って、一般的には竹内文書の真贋をどう捉えるかという問題は、特定宗教を信仰するか否かの問題に還元されるわけである。

トンデモ排撃がこのエントリーの趣旨ではないし、かつは少数でも利害関係者が現存する無知な分野に関するコメンタリーであるから、これ以上踏み込んだ発言は控えるが、要するにここでいう「ヒヒイロ『ノ』カネ」というのは、説明放棄の合図なのである。

そのヒヒイロノカネがマスクドライダーシステムのアイテムの至る所で象徴的に使われているということは、「たくさん解説が書いてあるけど深く考えないでね」という意味なのである(木亥火暴!!)。

高圧縮酸素もファンデルワールス力もタキオンもマイクロ波放電式イオンエンジンも、つまるところは「ヒヒイロノカネ」なのである。要するに、要するにだね。

考えるな。

感じろ。

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