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2006年12月31日 (日曜日)

冬が来る前に 其の四

八まで行ったのだから、今度は一〇や一二の話になるのが順番だが、実は今季はテレ朝とテレ東のドラマは殆どマトモに観ていない。なので実質的にはこのパートはオマケということになる。

形ばかり夫々の局の作品に触れるなら、今季のテレ朝は「だめんずうぉ〜か〜」「家族〜妻の不在・夫の存在〜」が目玉で後はシリーズ物、深夜枠に「アンナさんのおまめ」という配置になるわけで、結果的には新規ドラマは全滅に近い低調な結果だったようである。

家族のほうは、渡哲也の主演でヒットした「熟年離婚」の後追い企画と言えるだろうから、ABC金九枠お得意の安全パイ狙いの路線で尚且つ性懲りもなくまたビジネスとして失敗したわけだが(笑)、こっちのほうは完全に一話たりとも観ていない。

だめんずのほうも山田優が目当てで一話か二話斜めに観た程度だが、まあコンセプトからして外しているんじゃないかと思うのは、原案となったコミックスの「ダメな男にどうしようもなく引っ懸かる女」という性格を、「ダメ男に引っ懸からないように警戒している女」に読み替えているところで、「肋骨三本骨折したり脇腹を刺されたりしたけど、それってカレがアタシを愛しているからだしぃ」とか言っちゃう女のどうしようもなさを自嘲するのが本来のコンセプトじゃないだろうか。

いい男だと思って期待したらダメ男だったというルーティンで話が進むわけだが、それではだめんずうぉ〜か〜でも何でもないじゃん、というのが何うも引っ懸かる。本来は極性がまったく逆の「アンナさんのおまめ」みたいな話であるはずなのだが、まああんなネタを実直にドラマ化したら、原案コミックスの妙に明るいノリを再現することなど出来ないだろうから、あんな脚色で正解なのかもしれない。

とりあえず、山田優が出ているということ以外には何の興味も湧かなかったので、目出度くスルーさせていただいた(笑)。

引き合いに出した「アンナさんのおまめ」のほうも、テレ朝で鈴木由美子原作物というのだから、まあ罪のないドタバタギャグドラマなのだが、何うも鈴木由美子も流石にワンパターンを通しすぎて、最近洒落の間合いが巧くないのかなと思わないでもない。

というのは、たとえば白鳥麗子さんとか音無可憐さんなら、まだしも「変人」の埒内で納まる範疇のキャラ描写だが、本作の主人公の桃山リリの場合、何処から何う視ても普通に「病人」である。極端な関係妄想や恋愛妄想を抱くストーカー体質の女性であってこういう女性に苦しめられた経験のある人も現実に大勢いるのじゃないかとついつい連想してしまう。

リリが病人に見えることで、たとえば白鳥麗子や音無可憐の場合と違って、相方の坂上恭太郎がどんどん巻き込まれてリリを憎からず想うようになるという筋書きが、相手の一途さにほだされるというより、リリの強固な妄想が転移している病的な心理状態にしか見えず、要するに妙にリアルで後味が悪いのである。

オレ個人としても、その種の人間が身近にいなかったわけでもないので、やっぱりこういう洒落のバランスを欠いたドラマを視ると普通に引いてしまうところがある。

そういうわけで、今季のテレ朝ドラマは出来の如何とは無関係にオレ的には全滅で、今こうやって総論を書く場面になって「ああ、そんなドラマもあったわねぇ」的な感慨を覚えてしまう(笑)。

その意味では、寧ろテレ東のドラマのほうがまだしもマシというところで、あの糞ドラマの「怨み屋本舗」の後番組である「クピドの悪戯」もほぼ全話観ている。この作品の特徴は、この枠にしてはエロ描写が控えめで、寧ろ真面目過ぎるくらい真面目に痛々しく純朴な青年の恋愛ドラマを展開していることである。

主人公の睦月智也を演じるのは、同局日曜早朝で放映していた「セイザーX」の主演でお馴染みの高橋良輔で、まあ、かなり生々しく童貞ボーイの辛い初恋の顛末を描いているこのドラマの主演が、割合演技も達者で陽性のムードを持つ高橋良輔でなかったら、ちょっとキツすぎて観ていられなかったかもしれない。

ラストの落とし所も含めて、この過剰な糞真面目さが重苦しい圧し附けがましさと映らないでもなかったが、その真面目さが本物である限り、剰り正面から批判する気にはならない。主演の北川弘美も秋山莉奈も悪くなかったし、これはこれで良いドラマだったとは思うのだが、各話の面白みが剰り感じられなかったとは言えるだろう。

ただ、これまでのこの枠のドラマの中で、女優の撮り方が最も下手だったという嫌いはないでもない。最初、秋山莉奈の化粧があんまりケバケバしいので、ああいう地味な柄の子が無理して化粧しているようなニュアンスを出したいのかと思ったが、北川弘美もそれほど綺麗に撮れていないので、撮り方の問題に過ぎないように思う。

ビリングから言っても北川弘美が主役の女優ドラマなのだから、もっと女優を綺麗に撮れていたら、もう少し見られた作品になっただろうと思う。

そんなところで大体今季のドラマを俯瞰し終えたわけだが、このラインナップに個人的に一本附け加えるとすれば、時代劇ではあるがテレ東の「逃亡者おりん」も毎週割と楽しみに観ている。設定的には小池一夫原作の劇画作品のような物語で、何うやら原作はないようだが、漫然と楽しむ分には悪くない出来である(笑)。

個人的な注目ポイントとしては、まあおりんの戦闘時の剰りにキャッチーなレオタード姿であるが(笑)、主演の青山倫子が割合芸歴もあるのに剰りにも爬虫類的に無表情でアクションも巧くないのが逆にツボである。

この爬虫類顔の大柄美人が、まだ見ぬわが子の俤を夢みながら続ける逃亡の旅の先々で卑劣な追っ手の罠を切り抜けるのがシリーズの骨子なのだが、主演女優以外は割合豪華な配役陣で、時代劇の所作と勘所を心得た達者なベテラン役者ばかりなのが、特撮テイストと妙に通じるところがある(笑)。

さらに言えば、ラスボスの植村道悦とおりんは愛憎ただならぬ関係にあり、さらにはラスボスの癖に下っ端に任せておけるかと言わぬばかりにホイホイ現場に出張って来ては非道の限りを尽くしておりんを絶体絶命の窮地に陥れるのだが、そこへ颯爽と現れておりんの窮地を救うのが、将軍の密命を受けた謎の凄腕剣客・倉沢弥十郎と来ては、この構図はまるっきりセーラームーンである(笑)。

道悦を演じるのが榎木孝明で弥十郎を演じるのが宅間伸なのだから、何うしたって特ヲタの目にはトクサツ臭さ全開のキャスティングで、今時は全然珍しいことではないが各話のゲストも松田悟史や渋江譲二等々トクサツでお馴染みの配役ばかりで、刺客の手鎖人の顔ぶれもVシネ人脈が多くトクサツテイストに溢れている(笑)。

何よりこの番組の良いところは、見逃してもちっとも惜しくないところで(笑)、一応録画はしているものの、他人にお奨めするつもりなど毛頭ない。2クール放映予定らしいから一月期も継続するのだが、テレ東が妙に力を入れているらしいこともあり、そこそこ当たればいいのにと思う。

そういうわけで、オマケに相応しくユルくて散漫な論旨に終始したが、こんなところで今季の総括はオシマイである。

全体を俯瞰するなら、オレ的にはCXの独り勝ちに見えるし、他局のドラマはそれほど入れ込んで観ていないのだが、やはり今季いちばんの重大事件は「14才の母」のヒットだろうと思う。つくり方次第でヒットするのも無理からぬコンセプトであるだけに、これはもうつくり手の良心の問題に決着すると言ってもいいだろう。

少なくとも、コケるとかマスコミで叩かれるいう外圧的な形でこの方向性に懲りるということはないわけだから、この種の下品さが今後のドラマでも発揮される可能性はあるだろう。他方では目玉の土九枠の不振ということもあり、今後の日テレドラマが何うなるのか、しばらく成り行きを見守りたい。

こんなところで、今年のエントリーはオールアップである。一年に満たない時間の中で随分と駄文を書き散らしたものだと我ながら呆れる次第だが(笑)、これに懲りずに来年以降もお附き合いいただければ幸いである。

それでは、何方様も良いお年をお迎えください。

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