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2007年2月21日 (水曜日)

Smoking pipe

そういうわけでわざとらしく雑記を書いちゃうわけだが(笑)、TVドラマやDVDなどの映像作品を観る以外はさして変わり映えのしない毎日を送っているので、いざ日記風に何かを書こうと思っても何も思い附かない辺りが貧乏くさい。

正直言ってオレは、特定の対象に対するオレ個人の意見を聞いてほしいという欲求はあるのだが、オレという人間を識って貰いたいという意欲が割と薄いし、毎日体験する具体的な事件はどんどん忘れていく方向で生きているので、日記的なものを始めても長続きしなかった。

まあ、手始めにここ数カ月のマイブームを語るというスズ嫁的な方向性で書かせていただくことにすると(笑)、昨年暮れから凝っているのはパイプ煙草である。この辺の話をする分には好きなだけ書いて好きなときに終われるだろうから、今日はちょっとこの話題を漫然と語ってみたいと思う。

さて、オレはかなりのヘビースモーカーで、一日にロングピースを三箱前後消費するくらいなのだが、若い頃には好みの銘柄に辿り着くまでにいろいろ試した関係で、パイプ煙草も二度ほどチャレンジしてみたことがある。結果的には二度とも好みに合わないと感じて撤退したのだが、煙草というのはパイプや葉巻の形が最も本来的なもので、今日一般的な紙巻き煙草というのも随分新しい形態のものである。

そういう意味で、こんなにヘビースモーカーであるにも関わらずパイプ煙草が肌に合わないというのは、何処か遣り方が間違っているからではないかという気がしてしょうがなかったのだが、考えられるのは、パイプそれ自体が安物だったということと、パイプ煙草の銘柄をさほど試してみなかったからではないか考えるようになった。

オレは基本的に煙草が切れても貰い煙草はしないタチで、嗜好品については妙に頑固に銘柄に拘る部分があって、煙草はロングピース、ビールはヱビスビール以外は好まないのだが、パイプ煙草でも同じように自分が好む銘柄に辿り着くまで試行錯誤してみたかと言えば、剰りにも裾野が広いのでそこまでする以前に興味を喪っている。しかし、最も本来的な喫煙法であるパイプ煙草の銘柄は、調べてみると星の数ほどあるようで、いろいろ試してみれば自分に合う煙草も見付かるのかもしれない。

高校を卒業して以来四半世紀以上に及ぶ喫煙歴(をい(笑))から考えても、ここで落ち着いてその辺を探求してみるのも年齢相応の新しい経験として面白いのではないかと考えるようになって、別段好きでもないパイプ煙草を三度始めてみることにした。

それにはまず、オレが若い頃にパイプ煙草を試みた時代とは違って、今はそこそこ高級なパイプやさまざまな銘柄の煙草が、ネット通販で比較的容易に入手可能となったという事情も大きい。

ネット通販がなかった頃には、ちゃんとした本格的なパイプを入手するには、東京で言えば銀座の菊水のように識る人ぞ識るような目利きの好事家が営む有名喫煙具店を識っている必要があった。そのようなツテや口コミ情報とは縁がない貧乏学生にすれば、大きなタバコセンターで手に入る安物のパイプが精々で、オレの若い頃にはそんなところには数千円程度の安物しか置いていなかった。

そういうところで買えるパイプはメーカーも限られていて、世界的なシェアを持つフランスのメーカーである「ブッ・ショカン」、日本では所謂「BCパイプ」として識られているメーカーだが、そこの量産品が一般的に入手可能なもので、後は精々ローランドや国産のツゲのエントリーモデルが一般的なものだった。勿論これらのブランド自体が安物というわけでは決してなく、大メーカーだけにエントリーモデルから高級品まで品揃えが幅広く本邦でのシェアが大きいというだけのことだが、そこらのタバコセンターでハケる保証もないのに高級品を置いているわけがない。

オレが最初に入手したのは、そのレベルの安物ですらなく、マッカーサーが厚木に降り立った時に銜えていたりマーク・トウェインが愛用していたことで識られるコーンパイプという代物で、たしか当時五〇〇円前後の価格だった。これはその名の通り乾燥させた玉蜀黍の芯を刳り抜いて火皿を作り、そこに竹や木製の筒を刺して申し訳程度のマウスピースをくっつけただけのもので、パイプとしては最下等の部類に属するお土産用の民芸品に毛の生えたような代物である。

その時に試してみたタバコの銘柄は、たしかハーフ&ハーフではなかったかと思うのだが、何うもこの組み合わせが絶望的に合わなかった。煙の冷却能力がない最低限の火皿と筒だけを具えた喫煙具で、ちょっと刺激のある紙巻きに近い味わいの煙草を比較的長い時間吸い続けているのだから、見る見る裡に煙の温度が上がり、軽く吹かすだけでも口の中がヒリヒリして胃が気持ち悪くなってくる。

紙巻きに比べて、肺まで吸い込まずに口で吹かすだけだから、口腔内にいつまでも煙が滞留して刺激が強い上に、煙を呑み込む率が高くなるので何うしてもニコチンが胃に来るのである。ニコチンは「アセチルコリンの様ニコチン作用」という言葉があるくらいで、神経系の興奮を起こし毛細血管を収縮させる働きがあるから、胃に作用すると吐き気や軽い胃痙攣のような不快感を覚える。

それに加えて、紙巻きに比べると煙草の量が多いだけに一服辺りに要する時間が何うしても長くなり、長く保たせようと思えば三〇分くらいなら平気で保つのだから、途中で香りや味に飽きてくるのである。

一回目の時は、紙巻き自体特定の銘柄に辿り着いていなかったので、パイプは性に合わないのだろうと片附けて紙巻きの試行錯誤に専念したのだが、一通り試してみてロングピースに落ち着いてから、更めてパイプや葉巻も試してみようと思い立ち、今度は一応ブライヤー製の数千円程度の安物を入手した。しかし、この時も生まれ持ったイラチな性分が災いしたのと、外ではなかなか腰を据えて吸えないことに苛立って、やはりこれはオレとは縁のない代物だと思うようになった。

最近になってまた始めてみようと思ったのは、若い頃と違って屋内商売だし、あの頃よりも若干動きがスローモーになっているから、今度こそ腰を据えて試せるのではないかと性懲りもなく考えたからだが、今のところ、一日置きくらいに二、三服燻らせる程度には習慣化している。

今回はまず、最初から少し高級なパイプを購入したのと、自分に合うような煙草を何種類か試してみて、割合早い段階で定番の銘柄に当たったというのが大きいだろう。お試し版程度にしか考えなかった昔とは違って、今回はじっくり腰を据えて試してみようと考えたので、割合に張り込んで好みのシェイプのパイプを選び、併せてパイプを愛飲している友人からお奨めの銘柄の特徴を聞き込み、なるべく軽めのものを何種類か取り寄せてみた。

オレのパイプの好みとしては、シャンクやマウスピースがストレートなブルドッグやビリアード系統のものより、流麗なベントが掛かったローデシアンタイプか、もしくは定番のものよりもダイナミックなシェイプのハンドメイドタイプのものが好みなので、価格帯から考えればグレインを犠牲にしてスムースタイプよりサンドタイプのものという条件で探してみて、結局このようなパイプに落ち着いた。

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ポール・ウィンズロウというデンマークのメーカーの製品だが、さほどお高いものでもないので一点物というわけではない。フリーハンドタイプで探すと、どちらかと言えば朝顔型のシェイプの物が好みになるが、このパイプはシェイプに沿ってグレインを模した筋彫りの彫刻になっていて、その意味ではインチキ木目なのだが(笑)、奇妙な生物感のあるテクスチャーになっていて、ボウルトップの部分だけがスムーズ仕上げで綺麗なバーズアイが出ている。

木目を楽しめるのがボウルトップだけなので、うっかり焦がしたりあんまり無闇に灰落としで叩くわけには行かないのだが、この生物感のあるテクスチャーが手に持った時にしっくり来て、仲々使い勝手が好い。

昔買った安物とは違って、最近のパイプは専用のチャコールフィルターが使えるようになっているようで、フィルターのあるなしで吸い比べてみると、銘柄を選べばヒリつくような辛さも抑えられることがわかった。軟弱なことだが、パイプ煙草専門店の通販サイトで「軽め」の表示があるものを何種類か試した結果、前出の友人もお奨めのキャプテンブラックやスタンウェルのバニラなら辛さもほどほどで胃が引き攣ることもなく、安心して煙草の香味や刺激を楽しめることがわかった。

とくにスタンウェルのバニラは、当初まったく期待していなかったのだが、オレには結構合うタイプである。本格的なパイプ党にしてみれば物足りないかもしれないが、イラチで飽きっぽいオレでも一服最後まで吸い続けていられるほどマイルドで癖がなく、バニラの甘い香りを長時間楽しむことが出来る。

これで全面的にパイプに移行出来れば大いに煙草代が浮くのだが(笑)、そういうわけにも行かないので結果的にはパイプ煙草の分だけ煙草代が嵩んだのみになったが、紙巻き煙草に比べて単価が安く附くことは間違いない。現在のペースなら一〇〇〇円弱のワンポウチで一カ月以上は保つ。

前述の通り、空腹時に無闇に吸うと気持ち悪くなるが、食後に落ち着いて燻らす分には大変気持ちが落ち着いて好いものである。三度目の正直で今度こそパイプ煙草が根付いたわけだが、ただでさえ煙と消える無駄な出費である喫煙のバリエーションをこれ以上増やす生産的な意味など勿論最初からない。

そうなるとまた新しいパイプが欲しくなったりするのが悪い癖だが(笑)、喫煙用パイプは一服吸うごとに掃除して暫く休ませないといけないので、すでにローランドの安物をセカンドパイプとして購入していることもあり、もう少しお金持ちになるまでしばらくは新しいものが買えないだろう。

とりあえず次はピーターソン辺りを考えているのだが、ここのは基本的なシェイプ自体は数種類しかなく、マウスピースの形状くらいしか違いがないので、まあさほど急ぐこともないだろう。

漫然とヤフオクで検索してみたら、ヨルン・ミッケやシクステン・イヴァルソン、有田静生などの有名職人の一点物は目の玉が飛び出るほど高い。高価なものでは数十万円程度が開始価格だったりして、とても貧乏人が手を出せる雰囲気ではない。前出の菊水のサイトで調べてみると、グレインの美しいダンヒルの最高級品は一〇〇万円超の逸品らしい。まあ、ダンヒル定番の無骨なシェイプは好みではないからと自分に言い聞かせたのだが、厭なものを視てしまった気分である。

こうなると本当に万俵大介辺りのお金持ちの趣味になってしまうので(笑)、まあオレには一生縁がないだろうとは思うが、誰か親切な人が買ってくださるというのなら絶対断らないので、遠慮なくプレゼントしてください

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コメント

こんにちは。あやしいものではありません。
大道芸観覧レポートという写真ブログをつくっています。
ロングピースの新発売当時の広告もとりあげています。
よかったら、寄ってみてください。
http://blogs.yahoo.co.jp/kemukemu23611

投稿: kemukemu | 2007年4月 8日 (日曜日) 午後 09時33分

コメントありがとうございます。ブログ拝見させていただきましたが、いろいろ珍しい広告が掲載されており、映画のレビューも読み応えがあって楽しませていただきました。正直、大道芸はよくわからないのですが、時々覗かせていただきますね。

投稿: 黒猫亭 | 2007年4月 9日 (月曜日) 午前 01時28分

どうもはじめまして。
「三度目の正直」でパイプに開眼された由、どうもおめでとうございます。
なかなか結構なパイプを入手されましたね。
一見して使い易そうな良いパイプです。

パイプは、パイプ自身、パイプ煙草、そして喫い方に至るまでそのそれぞれに「奥行き、深さ」がありますからこれからが「楽しみの始まり」だと思います。
どうぞ、ご自由に楽しんでみて下さい。

これからも「パイプ」に関する日記を楽しみにしております。

投稿: shell-freak | 2009年9月23日 (水曜日) 午後 10時43分

>shell-freakさん

はじめまして。

>>「三度目の正直」でパイプに開眼された由、どうもおめでとうございます。

いやあ、それがですね。このエントリを書いた翌年に拠ん所なく転居しまして、現住居では室内を汚すと居住者が現状復帰しなければならない契約になっているので、台所とベランダ以外では喫煙しないことにしたのです。

ところが、ベランダでボーッと座っていると、どうも見え方が不審なので(笑)、結局台所の換気扇の下で吸うことが多くなって、そうなると腰を落ち着けてパイプ煙草を燻らすと謂うのにはあまり向かないので、紙巻きのほうが多くなってしまいました。

たまに想い出したように吸ってみる程度の頻度になったので、偉そうにパイプ党の端くれのような顔をするのも憚られるような状態で、折角コメントを戴いたのに、大変面目ない次第です。

投稿: 黒猫亭 | 2009年9月24日 (木曜日) 午前 09時27分

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