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2007年11月21日 (水曜日)

ロケットフクロモモンガ捕獲さる!

こんな夢をみた。

いつものようにヤフーニュースのヘッドラインを流し見していると、「ロケットのように飛ぶモモンガ発見!」という見出しが目に附いた。クリックして本文を読むと、この生き物はオーストラリアのタスマニア州で捕獲された新種の有袋類で、外見上フクロモモンガに類似しているが、フクロモモンガのように樹上から滑空するのではなく地上からでもロケットのように猛スピードで垂直離陸することが可能だという。

タスマニアでは、古くからアボリジニの間で「流れ星のように飛び上がるフクロモモンガ」の言い伝えが残っていたが、これまでそのような生物が発見されなかった為に学問上は架空の生物と見做されていた。しかし、ごく稀に目撃例があり現地の古老の間では実在すると信じられていて、フクロモモンガが英語でSUGAR GLIDERと呼ばれるのに対しこの生物はSUGAR ROCKETEER と呼ばれていた。和訳すると「甘党のロケット乗り」ということになり、何ともロマンチックなネーミングである。

目撃証言によると、この生物は樹上生活と地上生活を半々で過ごすらしく、地上をのそのそと移動しながら昆虫やミミズなどを食べている際に目撃される例が多い。地上における活動はさほど活発ではないので、天敵のフクロネコやディンゴに狙われやすいが、そのような時は一瞬のうちに身体全体が風船のように膨らみ、湿った破裂音と異臭を残して飛び去ってしまうと言われている。

この生物を捕獲したのは現地のアマチュア研究者グループで、日本で謂えばツチノコ研究会のようなUMA研究者の親睦団体である。毎年テーマを決めてUMA捕獲の探検ツアーを開催しており、今年のテーマがロケットフクロモモンガだった。

目撃例の記録を辿って何カ所かでキャンプを張って探索したところ、たまたまロケットフクロモモンガが地上で採餌している現場に行き当たり、人間に驚いて伝説の通り破裂音と異臭を残してロケットのように急速に離陸したことから、目的の生物であることが判明した。さらに幸運なことに、このロケットフクロモモンガは、たまたま弾道上に木の枝が密集していた為にその一本に衝突して墜落した。

この個体は失神していただけだったので生け捕りになり、首都の○○○大学から専門家が派遣されて詳しい調査が開始された。専門家によると、この生物がロケットのように飛ぶ仕組みはまさにペットボトルロケットと同一で、外敵などに遭遇して危険を感じると、まず有袋類の特徴である育児嚢に口吻を突っ込んで空気を送り込み、同時に育児嚢の内部にある臭腺から尿一回分程度の分泌液が出る。

この育児嚢は体躯に比較して大きなもので、胸から下腹部に掛け全体的に嚢状になっており、下端には上端と同様に孔があって、上下端とも太くて強力な筋肉で巾着袋状に開閉出来るようになっている。また、育児嚢全体に横方向に筋肉が走っていて急激に収縮することが出来るようになっている。離陸の際にはこれらの筋肉全体が急激に収縮し、内部の空気が十分に圧縮された瞬間に下端の孔を閉鎖していた筋肉だけが弛緩することで、圧縮空気と共に液体が強烈な勢いで噴出して、その反作用で勢いよく一〇メートル以上も飛び上がるということである。

したがって、我々がイメージするように華麗に一直線に舞い上がるというより、とにかく高い所に飛び上がるというほうが実態に近く、地上から可能な限り素早く樹上に移動する為に発達した機能ではないかということである。長い尻尾がダーツの羽根のような役割を果たして何とか頭から真っ直ぐに飛び上がるが、どんな角度で何処へ向けて飛び上がるかは制御出来ないらしく、その後どうするかは飛び上がってから考えるようだ。

イメージ的には、紐を結わえ附けた五円玉を投げたように飛び上がるわけで、大学構内の体育館に安全ネットを張って実験したところ、高速度撮影の映像では離陸時のロケットフクロモモンガは「気をつけ」の姿勢で硬直しているらしい。或る程度の高さに飛び上がると四肢の間の皮膜を拡げてフワフワと滑空するというのだから、落下傘花火に近いと言えるかもしれない。

滑空の為の皮膜の構造はフクロモモンガよりも寧ろヒヨケザルに近く、前肢と後肢の間だけではなく頭部と前肢および後肢と尾部の間にも皮膜が発達しており、上昇してから即座に無駄なく滑空に移れるよう滑空機能が発達している。その為、全体的に見ると身体中がぶよぶよした伸縮性のある皮膜で出来ているように見える。

また、驚くべきことに捕獲された個体はオスであり、本来有袋類の育児嚢はメスにしか存在しないので、窮めて異例な体制である。同大学の○○○教授は、「フクロモモンガ目の中でも生態的地位の低いものが半地上生活に有利なように進化した可能性がある。たまたまの発生異常で本来無用な嚢を持って生まれたオスが発達してロケットのように飛ぶようになったのだろうが、メスの個体が捕獲されていない以上、飛ぶのがオスだけとは断定出来ない。少なくとも本来の用途に用いられない段階ではメスも飛ぶ可能性は否定出来ない」と当たり障りのないコメントをしている。

何にせよ、ロマンチックな「甘党のロケット乗り」も、いざ捕獲してみるとおならで飛び上がる落下傘花火のようなぶよぶよの毛皮の塊というマンガみたいなキャラだったわけで、なかなか現実はロマンとは程遠いようである。


※さすがに今回の話はそのまま夢にみたというわけではなく、夢の中でつらつら考えたことを
起きてから取り纏めて科学記事風に脚色したものだが、時々こういうふうに夢の途中で考証的な想念の流れになることがある。睡眠研究の観点で謂えば、ビジュアリックで物語的なタイプの夢とは別にこのような言語的な想念のみのタイプの夢もあるそうである。

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コメント

「成海璃子ちゃんとパリの逃避行」編以来、夢シリーズの隠れファンなのでコメントさせて頂きます。

東京新聞が4月1日用に欲しがりそうな記事だなあと思いながら拝見しました。最後の注釈にある「言語的想念のみの夢」というのがもう想像外なのですが、昼間抱えていた問題を夢の中で解決するというケースがこれに当たるのでしょうか。
想像外というのは自分で見るのが主に映像的夢なためで、言語化すると誰がどう見てもただの電波、ネタにすらならないのが悲しいです(文章力の問題という話もありますが)。

投稿: 604 | 2007年11月22日 (木曜日) 午前 09時24分

>604さん

いつもコメントありがとうございます。今回は、早速認識を改めて女性としてお迎えすることにします。と言っても、そんなに男と女で対応を変えているつもりもないので、気持ちの上だけの問題ですが(木亥火暴!!)。

夢シリーズはもう、完全に自分が面白いから書いているカテゴリーですね。読んでいる方が面白いか何うかは識りませんが、アクセスが歴然と少ないですからレビューのエントリーよりも不特定多数からのニーズが少ないことは承知しております(笑)。当ブログをいつも巡回してくださっている方も、なんでこんな電波なコトを定期的に書き散らしているんだろうと不審に思ってらっしゃるのかもしれません(笑)。今まで誰も突っ込んでくれなかったので(笑)、今回はちょっと長目に講釈しておきますね。

オレの友人には、途中で目が覚めても夢の続きがみられたり、同じ夢を巻き戻してもう一度みることが出来る人がいるんですが、オレはそれほど器用ではないので、面白かった夢を書き留めておこうと思ったのが最初の動機です。勿論、夢は夢ですから何うやっても文章に書き起こせないもののほうが多いですが、たまに何とか文章化可能で面白い夢をみると忘れないように書き留めておくことにしています。

夢を記録するのは神経症の治療に役立つとか、その逆に有害だとかいろいろ言われていますが、オレの場合は自分が面白いと思ったか何うかが基準ですので、そんなに害はないでしょう(笑)。文章化するプロセスでは、夢特有の他人に伝えにくい不条理なロジックをどういうふうに表現するかというのが書いていて面白いところですね。それで他人様にちゃんと伝わっているか何うかはわかりませんが(笑)、少なくとも何う表現していいのかわからないというもどかしさは解消されますので、これで結構スッキリします。

成海璃子の夢は、元々他人様に伝えにくい部分が多分にあるけど自分では面白かった夢なので、その儘忘れてしまうよりああいう形で文章化出来たのは、自分にとっては後々読み返す楽しみがあります。さっき紹介した友人のように、擬似的に同じ夢をもう一度みるような楽しみですね。先日の猫の夢は、起きてからちょっと切ない気分になったのと、その儘忘れてしまうのが何だか疚しいような気がしたので書き留めてみました。

今回書き留めた夢は、物語的な流れで視ると、ヤフーニュースのヘッドラインを見て記事を読んでいるうちに探検隊視点でモモンガを見付ける話になって、大学の研究者視点の話になるというふうに視点があちこち移動している夢だったんですが、途中でいろいろ考えたことがあったので、それを交えて文章化したほうが包括的に夢を記述出来るのではと思いまして、こういう伝聞形式の体裁で書きました。

>>最後の注釈にある「言語的想念のみの夢」というのがもう想像外なのですが

人によるのかもしれませんが、オレの場合、「ただただ考えているだけ」という形の夢をみることはけっこうあります。そういう場合、絵は附かないですね。若い頃から周期的にみる「ただただ考えているだけ」の夢の典型的な例としては、とってもくだらないんですが「十字手裏剣を高速で連射する機械の仕組みを考える」という馬鹿馬鹿しいのがあります(木亥火暴!!)。しかもこれ、必ず同じ幼稚な理屈を考えるので、何度みてもちっとも進歩がないのが困りもので、これをみると自分がどんだけ莫迦なんだか不安になってしまいます(木亥火暴!!)。

そういう夢では、三次元的な構造については絵が附くことがあります。というか、理屈が附かないことを絵で胡麻化しているだけだと思いますが(木亥火暴!!)。絵的な構造把握というのは理屈が附かなくてもそれなりに様になるので、絵画的に物事を把握するという手法は直観的な理解に役立つ半面、破綻したことを平気で考えられるという難点がありますね(笑)。今回の例で言うと、フクロがキュッと縮んでブシューッとモモンガが飛んでいくという絵面が浮かんだので、本文ではそれを言葉で補足しています。

あとは、言語的思考すらなくて、ただ単に特定のフィーリングを感じるだけの夢というのもみます。「とても怖い」とか「とても哀しい」とか「とても腹立たしい」とか、ネガティブなものが多いですが(笑)。

投稿: 黒猫亭 | 2007年11月22日 (木曜日) 午後 12時12分

もうもう、性別につきましてはお心の片隅にでもお留め置き頂ければ。私の記事には下ネタも少なくないので、下品な奴だと思われないかと、それだけが(汗)。

夢の絵画的な部分を文章に変換でき、他人が読んでも面白い記事に仕立て上げられるというのは、やはり天賦の文章力に負うところが大きいのではないかと思います。もしも次に「十字手裏剣発射装置」の夢をご覧になった時はぜひとも記事にして下さいませ。

確かに夢は人それぞれなようで、最近知人から聞いた「死んだ父親をキャスター付きの戸板に乗せて連れまわしていたら息を吹き返した夢」も想像の埒外でした。しかも自分で全部夢だと意識しながら見ていたと言うから随分冷めたものです。

逆に私は現実世界に沿った記憶を巧妙に捏造するような夢を見ることがあり、約束を果たしたと思っていたのが実は夢の中の出来事だったということも(文字通り「夢と現実の区別がつかない」のです)。
ですから、某特撮で「記憶こそが時間」と言っているのには何となく賛同しかねていたりします。

長くなりました。黒猫亭様が良い夢をご覧になれますようお祈り致しております(←催促ではありません)。

投稿: 604 | 2007年11月23日 (金曜日) 午後 05時33分

>604さん

楽しんでいただけて何よりです。元々夢を文章化するというパターンの文芸としては、漱石の「夢十夜」が有名で、このエントリーの書き出しの「こんな夢をみた」というのはそこからのイタダキです。これは本人の言によると本当に漱石がみたまんまの夢を文章化したものだそうです。

黒澤の「夢」も語り出しが「こんな夢をみた」の字幕で始まっているように、漱石の作品からインスパイアされたもので、実際に黒澤がみた夢だとされていますね。実相寺昭夫の遺作も映画化された「夢十夜」の中の一本で、まあ夢の話をするのに「こんな夢をみた」と語り出すのは、今では伝統的な作法のようなものですか(笑)。

604さんだけでも楽しんでいただけているようですので、書いた甲斐がありました。夢は人それぞれで結構個性が出るものですが、オレが他人から聞いた夢の中で一番ベタなのは「UFOに乗せてもらって操縦させてもらえることになったが、コックピットが軽自動車の運転席そっくりだった」というものですが(木亥火暴!!)、オレだって睡眠中に尿意を催すと何度も何度も御不浄に立つというベタベタな夢をみます(木亥火暴!!)。まあ、幾らなんでも四十面を提げて寝小便を垂れたりはしませんから(木亥火暴!!)、何度用を足しても尿意が納まらないので目が覚めるんですが。

あと、ベタと言えば腹を毀していたり具合が悪いと穢い夢をよくみますね、腐りかけた生ゴミにまみれるとか肥溜めに落ちるとかウンコ踏むとか(木亥火暴!!)。夢は五臓の疲れと言いますが、五臓が疲れていると触穢の感覚が敏感になるようです。

十字手裏剣発射装置の夢は最近みないのでせいせいしているんですが(木亥火暴!!)、今度みたら皆さんがウンザリしても書くことにしますか(木亥火暴!!)。作図とか大変だと思うんですが。まあ、また面白い夢をみたら書き留めておきますね。

投稿: 黒猫亭 | 2007年11月23日 (金曜日) 午後 06時07分

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