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2007年11月 6日 (火曜日)

さぞかし紙が黄色かろう

暇なのでヤフーニュースでも流し読みしようと思ったら、我が目を疑うようなタイトルが飛び込んできた。

民主が新テロ法対案、給油活動再開に柔軟姿勢
11月6日13時43分配信 読売新聞

何だかこれだけを読むと、今回の小沢騒動で浮き足立った民主党が給油活動に対して自民の要求を丸飲みしたような印象を覚えるが、本文は以下の通りである。

 民主党は6日、インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開する新テロ対策特別措置法案への対案となる「アフガニスタンでの人道復興支援活動と国際テロリズム根絶に関する特別措置法案」(仮称)の骨子案をまとめた。

 インド洋で各国が行う海上阻止活動を直接承認する新たな国連決議が採択された場合は、日本がその活動に参加することを検討するとして、給油活動の再開に柔軟姿勢を示したことが特徴だ。また、自衛隊をアフガン本土に人道復興支援やインフラ(社会資本)整備などに限って派遣することを打ち出している。「戦闘活動は行わない」として、アフガンで展開する国際治安支援部隊(ISAF)に自衛隊は参加せず、ISAFへの後方支援活動を行わないことも明記した。

同じことでも書きようで幾らでも読者を騙せるという見本のような書き方である。

そもそも今回の対案を「給油活動の再開に柔軟姿勢を示したことが特徴」と言っちゃうセンスが凄いわけで、「インド洋で各国が行う海上阻止活動を直接承認する新たな国連決議が採択された場合は」と付帯条件が附き、「日本がその活動に参加することを検討する」と留保を附けているんだから、従来の「小沢民主党」の主張である国連重視主義そのまんまである。

別段民主党は小沢一郎個人と完全にイコールではないのだから、党内で小沢の持論を揉んで調整した結果このような穏健な形になったというだけで、別段従来の主張から視て何処にも新味はない。

つまり、「国連の直接承認決議というお墨付きを貰ってくれば、その都度検討してもいいだろう」くらいのニュアンスの話をしているわけで、何処も歩み寄っていない。それを「柔軟姿勢」と表現し「特徴」とまで言っちゃうのが、幾らカネをとって配っているナベツネのアジビラにしても凄まじい。検討した結果突っぱねる余地を残しているのだから、小沢一郎個人の持論よりももっと後退しているくらいである。

寧ろ民主党案の「特徴」とは、ISAFへの直接参加は見送ったものの、それに連動した文民としての活動に限定し人道復興支援やインフラ整備に参加するとした辺り、小沢一郎の持論をもう少し民意に沿った形で穏健に修正したところと言えるだろう。従来の民主党の主張に沿って、国連主導の平和維持活動への参加要件を整理しただけで、アメリカさんがそう頼んだからとか、「日本は困った立場に置かれるだろう」とやくざ紛いに脅されたからとかというワケのわからん理屈よりもナンボか筋が通っている。

元々民主党と自民党のテロ特法を巡る争点というのは、ぶっちゃけアメリカさんの都合によって筋合いが何うであろうが何とでもしたい自民党に対して、野党的な観点の民主党が「キチンと客観的な規範に基づいて議論出来るベースを整えるべきだ」と主張していたのであって、たとえばそれは小沢一郎個人の持論においては国連決議という正当性の規範であり、軍事協力の観点ではISAFという錦旗であったということである。

それに対して、小沢を党首に戴く政党としての民主党は「国連に正当性の規範を求めるのは結構だが、やはり直接戦闘への参加は国内与論に鑑みて如何なものか」という結論で一致したわけで、小沢的にも議論を尽くした結果の党の結論がそれであるなら納得していたはずである。

まあ、そういう細かいニュアンスの違いはいつものことだと言えるわけだが(笑)、それよりもこの書きぶりにはもっと厭な底意が見え隠れするわけで、「ほら、案の定民主は自民に歩み寄ってきたでしょ?」というゐやらしい目配せに見える(笑)。

さらに言えば、記事の重点は民生限定での支援活動への参加にはなくISAFへの不参加を強調しているわけで、ここにも「これまで二言目にはISAF、ISAF言うてたのに、何だか急に取り止めたみたいですぜ」的な目配せがある。

読売新聞的には、今回の大連立は小沢一郎が持ち掛けたもので、本人に抗議されても客観的根拠に基づいた報道だから何ら訂正の要はないというのだから、その連続上でそのニュアンスを解釈すれば、小沢一郎が権力への接近と引き替えに野合した、ホントはテロ特法なんか取引の材料に過ぎないんだよ、という話をしたいのだろう。

他紙の記事と比べると読売の記事の異様さは際立っていて、如何にも何らかの裏面のストーリーを仄めかしたくてたまらないと言わぬばかりである。試みにヤフーに掲載された四つの記事の見出しを並べると、読売の恥ずかしさは際立っている。

自衛隊 人道支援など限定 アフガン派遣 民主が新法対案(産経新聞)
民主が新テロ法対案、給油活動再開に柔軟姿勢(読売新聞)
アフガン支援、民生に限定=対テロ方針の骨子案公表−民主(時事通信)
アフガンに自衛隊派遣 民主党が新法対案を発表(産経新聞)
<新テロ法案>民主、対案の法案骨子まとめる(毎日新聞)

民主の対案が給油活動再開に対して宥和的だなどというニュアンスの見出しを附けているのは読売くらいのものである。産経新聞辺りも流石というか、一報では「アフガンに自衛隊派遣」などと煽っているが、続報でちゃんと「人道支援など限定」と註釈を附けているし、記事の内容も読売ほど情報を編集してイメージ誘導していない。

まあ、ナベツネ自ら音頭をとって進めてきた大連立構想が脆くも崩れ去った今、精々その潰え去った構想の残骸を利用して民主にケチを附け、小沢一郎を貶めなければ気が済まないのだろうよ(笑)。ハタから視れば、それは単にナベツネ自身の恥も外聞もない新聞人としての醜さとしか映らないわけだが。

ひょっとしてあの爺さん、ここ数日は現場に貼り付いて獅子吼の檄を飛ばしていたりするのだろうか、手ずから原稿チェックまでやっているのだろうかと思うと、何だかご苦労な話である。つか、もういい加減に娑婆っ気が抜けて仏いじりに精を出してもいい頃だろうよ、お爺ちゃん。日本という国は別にあんたなんて要らないんだし、これまでのことは水に流してあげるから、安んじて余生を楽しんでくれたまい。

…ああ、それからオレがこんな陰口を叩いていたことをあの爺さんにチクってはいけないよ、あの大人げない爺さんのことだから、ニフに圧力をかけてオレみたいな吹けば飛ぶよな貧乏人をココログから閉め出したりしかねないからね(木亥火暴!!)。

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コメント

ちょっと補足すると、たとえば「国連決議という国際社会の総意に対しては積極的な支持を与え明確な役割を担うのが日本の責任で、それには軍事協力も例外ではない」というのが小沢が常々語った原則論で、それに対して「いやいや日本にだって国益ってモンがあるでしょう、九条という縛りがあるでしょう、それを無視したら国政じゃないよ」という内外からの反論が在り得るわけで、それを調整したらこういう対案になるという意味では何処にも矛盾はないということである。

小沢原則に従えば、たとえば「インド洋で各国が行う海上阻止活動を直接承認する新たな国連決議が採択された場合」には直ちに給油活動を行うのが日本の責任だということになるし、ISAFに参加する以上直接戦闘に乗り出すということである。

しかし、普通に考えれば個別の国家というのは、特定の観点における一義的な筋合いや理念だけで成立しているわけではない。現実には国際社会の総意としての国連決議があっても、呑めないだけの「国内的な筋合い」というものもあるだろうし、九条に関する議論にも何ら筋道が附いていないのに直接戦闘への参加など論外である。

いやまあ、至極普通に予想通りの内容の対案だと思うし給油活動への対応は小沢代表の過去の言動よりも後退していると思いますがねぇ(笑)。

投稿: 黒猫亭 | 2007年11月 7日 (水曜日) 午前 02時16分

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