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2009年2月16日 (月曜日)

SHTに還る

久しぶりに真正面からトクサツの話題を一くさり。正月からの「仮面ライダーディケイド」が一月分四回を消化して、今週から戦隊のほうも「侍戦隊シンケンジャー」が放映を開始した。

どちらも個人的にはかなり楽しめているので、昨年一年間は惰性と謂うか資料と謂うか習慣的に録画しているだけで全然観なかったスーパーヒーロータイムだが、今年は例年通りそこそこ入れ込んで観られそうな予感がしている。

DCDに関しては、白倉PDが現場復帰に際してどんな球を抛って来るかと期待していたら、偶然にしても窮めて白倉PD向きの企画になっていて、個人的にはかなり楽しめている。どの辺が白倉PD向きなのかと謂えば、要するにこの構造の番組なら、文芸的なストーリー性よりも趣向や批評的言及がキモになってくるからである。

かねてよりオレは、「文芸の勘がない」と謂う点が創作者としての白倉PDの欠落であり、その欠落をどのように文芸担当者との協働で埋めていくのかが番組制作の鍵、と指摘し続けてきたわけだが、この番組はハナから同シリーズの周年記念イベントとしてのお祭り企画的な性格を持ち、且つは「平成ライダー夢の競演」を謳い文句にしているわけだから、窮めて二次創作的な性格が強い。

こう謂う性格の番組なら、白倉PDの企画屋として優秀な部分がストレートに出せるだろうし、九番組+DCD固有の物語を各世界三話持ちで廻していくとすれば、長丁場の大河物語が要求する文芸性よりも、各作品に対する批評的言及やそれぞれの世界観を知悉した各番組のファンに向けたサービス要素を、一月未満の短期決戦で詰め込んでいくと謂う作業が重要になってくる。

或る種、電王で自身の作家性に決着を附けた白倉PDが、剰り辛くならずに効率的に廻していける性格の番組になっているわけで、九作品の世界と謂う明確な区切りがあるユニット構造のシリーズだから、作業の手離れも好いだろう。何かしら不測の事態が起きたとしても、人的な対応は比較的容易ではないかと思う。

枠となるDCD世界の大まかな約束事を作り込み大体の落とし所を固めておけば、後はお得意の「ライブ感覚」がどう転んでも終わるときには自然に終わってくれる。単純計算で謂って、DCD世界それ自体の物語が前面に出る枠物語のエピソードは四話乃至三話程度しかないのだから、終わらせ方はそれほど難しくない。

つまり、一言で言って、つくりが堅い。

最初のクウガ編にキバ編が続くと謂うことは、非白倉作品のほうから順不動で廻していくと謂う方針なのかもしれないが、まあ順当な判断だろう。自作について自ら言及すると謂うのもスタート時点ではそれほど新味がないだろうし、批評的言及の性格を明確に打ち出すなら他人の作物のほうが対比が効く。

クウガ編については、すでに二話持ちの舌足らずな部分を指摘したけれど、ユウスケがレギュラーとして参加するのだからそこで追々にカバー出来るだろう。また、もしも會川昇に劇場版を書かせるとすれば、そこで彼が関わった剣を持ってくれば好いわけだから(笑)、「大人の事情」ありきの企画、つまり現場を効率的に廻すシステムとしてはよく考えられているのではないかと思う。

また、これは全然根拠のない予想だが、白倉作品お馴染みのライターにそれぞれ声を掛け作品をシャッフルして書かせると謂うのも、それが可能なら楽しい試みになるのではないかと思う。例年だと一人のライターがほぼ全話書く慣例になっているが、この企画なら別段會川が全話書かねばならない必要はない。

最初にクウガをガツンと持ってきて掴みは十分だと思うが、そうなると次の山場は響鬼をどうするか、と謂う部分になるだろう(笑)。で、會川昇は「俺に響鬼を書かせていれば」と謂うやる方ない憤懣を「妖奇士」にぶつけたくらいだから(笑)、おそらく物凄く力瘤を入れてくるんじゃないだろうか。會川が一番書いてみたいのが響鬼の世界だろうから、ここは少し勿体を附けて後回しにするかもしれない。

そして、要するにこの番組の最大の面白さと謂うのは、そう謂うことをあれやこれやと考えるメタ的な楽しさであって、平成ライダー世界の外側や内側が入り乱れた興味と関心が多様な視聴層にアピールするんじゃないかと期待している。そもそもクウガのユウスケの姓が「小野寺」だなんてのは、これはもうマイトガイン級のメタフィクションを仕掛けていますかとwktkなのだが(笑)、まあ要するに何がどうなっても別段構わないと謂う要求要素の緩さがあるわけである。

少し具体的な内容の話もすると、「過去なき男ふたたび」な士の設定と謂い、もう一つのクウガ世界におけるユウスケの「戦う動機」を描いた前後編と謂い、嘗てオレがセラムンについて語ったこの辺の話に正面から喧嘩を売られたようで、久しぶりにワクワクした(笑)。やっぱり白倉PDはこうでなくてはならない(笑)。

彼がオレの「失はれた週末」を読んでいるなんてのは、マニアが高じたデンパな思い込みに過ぎないが、オレが売った喧嘩にいつも神懸かり的な偶然で喧嘩を売り返してくれる白倉伸一郎と謂うヒトが面白くてしょうがない(笑)。

そう謂う次第で、この一カ月くらいはかなりいろんな意味で楽しめていたのだが、一方では、前作がつまらなかったので戦隊には全然期待していなかったから、まったく事前情報をリサーチすることもしなかった。したがって、メインライターが小林靖子だと謂うことも放映当日まで識らなかった。

いやあ、迂闊だったなぁ(笑)。

白倉PDのライダー復帰に、小林靖子の戦隊復帰、これらの事件が同時に起こったと謂うのは、トクサツシーンにおいては驚天動地の物凄いイベントじゃないですか。しかもこのシンケンジャーが無駄にガチンコで、第一話を観ただけでもオラ何だかワクワクしてきたぞ(笑)。

なんですか、この執念深い「セラムンリターンズ」は?(笑)

「前世からの宿命」だの「プリンセスを守護する四守護神」をこう謂うふうに蒸し返しますか。いや、勿論当人たちにはセラムンを繰り返しているような意識なんかないだろうさ。旧作で手応えを得たテーマ性やテクニック、悔いの残るあれやこれや、それを新作創造の糧とするのは、創作者なら当たり前の習い性である。

この戦隊はセラムンを繰り返しているわけではない、セラムンを書いたライターが新作を書いているだけのことである。しかし、そこに濃厚に顕れるセラムンの経験が嘗ての思い入れや興奮の感覚を呼び覚ます。セラムンだって何もないところからいきなり出て来たわけではない、寧ろ小林戦隊の発展系として顕れたのだから、そこからまた戦隊に往還する流れがあるのは当たり前のこと。

宇都宮PDの一本立ちに際して無駄にガチンコな小林戦隊と謂うのも、何だかいろいろな期待を抱かせる。主題歌も過去に大好評だったサイラバを三度起用するなど、何だか全方位で本気度が伝わってくる作りだし、そもそも戦隊の遠いルーツが「白波五人男」なのだから、歌舞伎モチーフと謂うのは一種の原点回帰ではあるだろう(笑)。殆ど顔が出ないレッドの父役で無駄にツダカンが出ているのも贅沢である。

キャスティングに関しても今のところは文句なし。

ピンク役の高梨臨はめざましテレビのいまドキ娘が一番メジャーな仕事だろうが、調べてみるとちょこちょこドラマや映画に出ているようで、舞台裏にいろいろと紆余曲折があった「GOTH」では本郷奏多の相手役としてヒロイン役をこなしているようである。いまドキ娘の中では結構好きな部類の子なので、まったく文句はない。

しかも、黄色の人に至っては「アイドリング!!! 」の11号じゃないか(笑)。一体、どう謂う料簡で他局が育成した色物アイドル(しかも現役の中核メンバー)を引っ張ってきたのか、ちょっと真意を聞いてみたいところである。いまドキ娘にアイドリングと謂う取り合わせだから、今回の女性メンバーは何故かCX色の強いキャスティングである。

レッド役の兄ちゃんも、素面の芝居ではちょっと滑舌が思束ないが、変身後のセリフ廻しが堂に入っていて悪くない。DCDの士役の子は、滑舌はそんなに悪くないけれど、イマイチあの甲高い声が好きではないのだが、この兄ちゃんは取り敢えず悪くない感じである。

申し訳ないが、青と緑に関しては、今のところキャラは好いんだがイマイチ見分けが附いていない(笑)。これだけハッキリキャラが立っているんだから、見間違うと謂うことはないと思うが、まあ今後を視ていくこととしよう。

調べてみて驚いたのは、この番組から撮影方式が変わって、先日観たチェ二部作と同じ「レッド・ワン」によるデジタル撮影・同時録音方式に移行したそうな。これは視聴者の見た目としてはそんなにメリットはないが、制作現場の効率性が画期的に向上することだろう。

前述のレッドの滑舌の問題も、多分同時録音に伴う事情なのではないかと謂う気がするから、慣れてくればもう少し安定してくるのではないかと思う。ただ、数年前のボウケンジャーでは、たしかブラックの子が、変身後のアフレコは巧かったのにいつまで経っても素面の芝居の台詞回しが思束なかったと謂う記憶があるから、どうなるかはわからないが。

とにもかくにも、この第一話からの怒濤のワクワク感と謂うのは久しぶりに感じる手応えなので、一年間、存分に楽しませてもらおうと思う。

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コメント

ちなみに、去年まったく観なくなった理由としては、

戦隊:「貰ったギャラ以上の仕事は一円分たりともしないと謂う武上大先生の立派な信念がさすがに鼻に附いてきた」

ライダー:「ぷにが出るようになってから小池里奈が出なくなった」

…こんなモンである。

戦隊のほうは、「今時語尾でキャラ附けって(笑)」ってのがもうダメで、そらあ會川昇にもおちょくられるっスよだぜでおじゃる、と。何と謂うか、観ていて寒々しくなるくらい空々しいドラマだったと思う。

ライダーのほうは、ハナからドラマ的には何も期待していなかったってことだなぁ。井上敏樹の自虐ネタである父子物の天丼に乗ってあげるほど親切じゃないし、時制を二つに分けた趣向も足を引っ張っただけなんでは。いや、つまんないんだもん、話がまったく繋がらないんだから(笑)。

後半はタイムトリップを採り入れて無理矢理関連附けていたけれど、それをやるくらいなら最初から同一時制でも好かったんじゃね? あと、井上メロドラマの暴走にはもうお腹いっぱい(笑)。

まあ、真夜役の加賀美早紀はああ謂うデンパな役をやると可愛いなあと謂うくらいが拾い物だな。なんせ、ブログとか視ると普通にデンパさんだから。

投稿: 黒猫亭 | 2009年2月16日 (月曜日) 午後 02時41分

戦隊、いいでしょー(笑)
つーか、2年振りに赤に好感触です。やっぱレッドは黒髪だ(笑)
自分も若くて未熟なのに、他人の命までを預かる立場、その苛立ちと不安がそこはかとなく醸し出されるあたり、もう小林節全開。
青と緑の対比もヨサげ。緑が実はアッツアツの漢な予感だし。
黄色い娘の素朴な感じと、桃色の対比もイイですね。つーか、本当に本気な小林戦隊、朝からワクテカしてしまったですよ。これでオッサンキャラで泣かせてくれれば万全ですな(笑)

投稿: shof | 2009年2月16日 (月曜日) 午後 10時11分

>shofさん

いやもう、スーツデザインがあんまりダサいんで全然期待してませんでした(笑)。女性キャラでも髯があるマスクデザインなんですねぇ。

>>自分も若くて未熟なのに、他人の命までを預かる立場、その苛立ちと不安がそこはかとなく醸し出されるあたり、もう小林節全開。

志葉家の当主に生まれ、且つは親父がああ謂う最期を迎えた以上、丈瑠本人はこの戦いを引き受ける覚悟があるんだろうと思いますが、「宿命」だの何だのと謂う他人の理屈で自分の人生を決められることが楽しかろうはずがありません。そう謂う反撥もありつつのアンビバレンツ、と謂うふうに受け取りました。

自分は他人に言われて戦っているんじゃない、しかし見ず知らずの四人はどうだかわからない。親や周囲に言われて従わされているんじゃないか、四人を招集することで自分が受け容れた「宿命」を強制する結果にならないか、そう謂う躊躇いもあるのだと思います。「覚悟で決めろ」と謂う辺り、自らの意志で選び取る戦いでない限り、他人を巻き込みたくないと謂う葛藤が伺われますね。

その辺の、宿命と意志の問題と謂うのが剰りにも直球ど真ん中でセラムンの前世の使命の問題と重なってくるわけですが、今回は「前世」「転生」のような小林靖子自身がリアリティを感じない曖昧な装置を介していないので、タイムレンジャーの竜也と親父の葛藤みたいな方向性でドラマを展開してくれるんではないかと思います。

>>これでオッサンキャラで泣かせてくれれば万全ですな(笑)

第一回目からしてオッサン濃度が矢鱈に濃かったですから、大丈夫でしょう。伊吹吾郎は或る意味「戦隊」経験者ですが(笑)、こんな美味しい役者が出演するのに、ジジイ大活躍の話を書かないわけがありません。普通なら省いても差し支えないような親父世代の人間が二人もゲストで出ていますから、オッサンキャラはどんどん出す方針だと思われます(笑)。

今回のゲストが、二人ともライダーのほうと因縁のある俳優と謂うのも何だか面白いですね。PDの宇都宮孝明はライダーも戦隊もサブで入っていて現役のPDと漏れなく協働していますから、その辺の人脈の強みと謂うのはあるかもしれません。

また、敵の組織が小林靖子好みのバルバン丸出しですから、そっちでもドラマが期待出来ますね。バルバンにしろロンダーズファミリーにしろ、統制の効いた軍隊組織みたいのではなく、幹部が独立性を保って牽制し合っているような殺気立った山賊集団みたいなパターンが好きみたいですね。

今のところ幹部が首領株含めて三人しか出ていないのでまだまだ未知数ですが、ドウコクと薄皮太夫のワケアリな感じとか、シタリ先生が何か腹の知れない胡散臭い雰囲気を醸し出していたり、かなりダイナミックなドラマの余地がありそうです。

それから本文ではサラッと流してしまいましたが、九〇年代入社組のPDは、白倉、武部、宇都宮、塚田の順になって、武部と宇都宮の間が一年空いているくらいで後は一年ずつの開きなんですね。このうち、白倉が最初に一本になって、次に大分遅れて塚田、また暫く措いて武部と宇都宮が続けて一本立ちした形になります。

ちなみに、日笠淳は八二年、高寺成紀は八六年入社ですから、八十年代のトクサツ冬の時代の関係でかなり世代が離れています。東映が人を採らなかったのだともトクサツの仕事に人が来なかったのだとも謂われていますが、いずれにせよ八〇年代に獲得した人材は二人しかいなくて、その内一人は問題児だったわけです(笑)。

一時期は一線を退くとの噂もあった日笠淳ですが、今も普通に現場を持っているみたいですし、役附きになって現場から足を洗うのではないかと予想された白倉も当たり前のような顔でライダーに戻ってきましたから、日笠と九〇年代組を繋ぐ世代の高寺が会社を出てしまった現状では、やはりどんどん九〇年代組を一本にして行かないと拙いと謂う判断なんでしょうね。

で、武部のほうは御存知の通りシャンゼの頃からずっと白倉と仕事をしていますが、宇都宮のほうは満遍なく一緒に仕事をしていますね。この内、マジ、ゲキでは一応塚田と連名表記になっていますが、実質的には後輩の下で働く形になっているわけで、なんか鬱屈するものがなかったのか聞いてみたいですね。

武部の一本立ちに際しては白倉の盟友の井上敏樹が附いてライダーを、宇都宮の場合には小林靖子が附いて戦隊を、と謂う鉄板な人材配置ではありますが、去年のキバがかなりグダグダだったので、PDの資質が未知数な宇都宮でどうなるか、その辺も今後の見どころかもしれません。これまで以上にメディアで発言する機会も増えるでしょうし、そう謂う場外の動きにもちょっと目を配りたいですね。

投稿: 黒猫亭 | 2009年2月17日 (火曜日) 午前 12時17分

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