« ものはみなうしなはれ | トップページ | 厭な連想 »

2009年3月31日 (火曜日)

猫まま

人間国宝・桂米朝師匠が脳梗塞でお倒れになったそうで、これはまあ長生きをした噺家の宿命てぇものでございますが、長らく流暢な語り口でわれわれを楽しませてくだすった米朝師匠の至芸も先々が危ぶまれます。そうゆう次第で、米朝師匠の予後を祈りつつ本日は落語に因んだお題を一席。

ええ、前のエントリでは盛大に貧乏の愚痴なんぞを零してしまいましたが、このいわゆる愚痴てぇものは、とき、ところ、それからこれがいちばん肝心でございますが、相手を選んで言わないてぇと、これがもう大変なことになります。

ご案内のとおり、曲亭馬琴作「南総里見八犬伝」なんてぇのは、歴とした大大名の里見治部大輔義実とゆう御武将が…いや、「ぶしょう」といっても「不精者」とゆうことではございませんで、早い話がお殿様、そのお殿様が、ついうっかり愛犬の八房に愚痴を零しちまったのがそもそもの始まりでございまして。

畜生には洒落とゆうもの全然通じませんものですから、里見の殿様が「これ八房や、そなた賤しき畜生の身なれども、年ごろ日ごろわしが懇ろに飼い置きし恩を露ほどにも感じなば、憎き敵将安西景連が素っ首級を我が前に獲って参れ、見ん事怨敵の首級獲って参らば、屹度娘の伏姫を褒美にやろうぞ」てな饒談をうっかり口にしちゃったのが大間違いで、野郎、莫迦正直に安西景連の首級を獲ってきちまいました。

「おや、ホントに獲ってきちまったのかい、洒落のわかんない奴だねおまいも、そんなこっちゃ立派な噺家にはなれませんよ、この金髪イヌ野郎」てなことを今更言っても後の祭りで、たとい犬畜生を相手のほんの戯れ言といえども一国一城の殿様が交わしたお約束でございますから、これを妄りに破るてなわけには参りません。

一旦は「この畜生め、血迷うたかぁ、思い上がりも大概にせよ!」と抜けば玉散る氷の刃、一刀の下に斬り棄てようとはしたものの、余人に非ず伏姫ご当人が父君の袂にこう縋りまして「父上、君主たる者が一旦交わした約定を違えてはなりませぬ、妾は約束通り八房の嫁になります」と、諄々と父君をお諭し遊ばされたもんですから、泣く泣く大事の姫君を犬畜生の嫁に出しまして、哀れ伏姫は若い身空で八房の背に揺られとぼとぼ里見の城を後にいたしまして、昨日に変わる賤屋の暮らし、草深い富山の奥深くに隠棲された、これが世に名高い南総里見八犬伝全九六巻一〇六帖の始まり。

昔から「綸言汗の如し」てなことを申しまして、君子たる者が一旦口から出しちまった言葉は、汗とおんなじでもう取り返しがつかない、引っ込めようがない、そうゆうことを申しますな。この汗とゆうものが自由に出したり引っ込めたり出来たらまことに便利なもんだろうてぇふうにあたしなんかは思いますが、そうなりますてぇと、ケチな人になりますと「出す」とゆうものなら汗一滴だって出したくないてぇえらいお方が出て参りまして、こうゆう「六日識らず」「赤螺屋」「始末屋」と呼ばれるほどの豪の者になりますてぇと、夏場の糞暑い盛りにも汗一つ掻かずにじぃ     っとこう、我慢しておりますな。

そのほうがハンケチも汚れないし着物も傷まないから好都合だてぇ料簡ですが、こうゆう人が去年みたいな猛暑の最中に熱中症になってころっとお亡くなり遊ばしたりいたしますから、けちん坊とゆうのも存外命懸けでございます。ええ、落語にお詳しい方はこの辺で「始末の極意」とか「味噌蔵」辺りを思い浮かべていただきまして、事のついでに「三ボウ」のマクラなんかも想い出していただけますと気分が出て参りますが、いやもう、昨今は脳天気な莫迦噺もなかなかやりにくい、莫迦には生きにくいような厭な世の中になって参りました、これもまた愚痴といえば愚痴。

事程左様に愚痴てぇものはうっかり口に出しますてぇと大事に及ぶことがある、誰彼構わず迂闊に愚痴るのは命取りのものでございまして、先の八犬伝のお話ではございませんが、取り分けこの畜生相手に愚痴るとゆうのがいちばんいけません。何しろこの、畜生とゆうのは洒落がわかりませんから、真に受けてから「おいおい、ほんの饒談事を真に受ける奴があるか、おまいさんのようなのを世間で何とゆうか識ってるかい、KYてんですよ」てなことを申しましても到底追っ着くもんじゃありません。

落語の世界にもこの八犬伝に似たようなお噺がございまして、馬琴の戯作は当時の士大夫、今で謂う知識人階級とゆうやつですな、これも愛読したてぇことでございますから極々上等の読み物とされていたようでございますが、落語なんてのはあたしらのような下々の民草が聴くものでございまして、まあ極々下等な莫迦らしいお噺でございますから、馬琴じゃ犬だったのが落語では猫になりますな。狐忠信も落語になると猫になりますな。

そういうわけで、落語に来ると何でもかんでも猫になると決まったもんでもございますまいが、どうゆうわけだか落語には猫の噺が多うございまして、「猫の忠信」とか「猫の災難」なんてぇお噺がございます。これは両方上方のほうのお噺でございますが、関東のほうでも猫に纏わるお噺てぇのが存外たくさんございまして。

ご案内でもございましょうが、スタジオジブリのアニメ映画に「猫の恩返し」てぇのがございますが、これはタイトルが落語のほうから採られておりまして、落語の世界にもおんなじ演題の噺がございます。今では演る人も少なくなって参りましたが、五代目の志ん生なんかが語ったとゆうふうにウィキには書いてございまして、これが本当にあった実録だなんてんだから、猫も莫迦には出来ないもので。

ただまあ、何を申しますにも何分猫のことでございますから犬に比べて力が弱い、敵の大将の素っ首級を噛み切ったとか何とか勇ましい噺じゃございませんで、泥棒猫なんてことをよく申しますが、昔は一般的なお住まいの造りが開放的に出来ておりましたから野良猫が勝手口からお台所にそぉ〜っと入って参りまして、目差しやら秋刀魚やらを失敬して行くてなことがよくございました、これが目差しだの秋刀魚だのなら泥棒といっても可愛いもんですが、おあしを失敬したてぇことになりますと、人間だろうが猫だろうがこれは笑い事では済まされません、大騒動になりますな。

ここで本筋を語っちまいますとホントの落語になりますから、そのほうはウィキでご勘弁を願いまして、聴いた「つもり」とゆう体にて願います。

このお噺なんぞも、酔った紛れとはいえ猫みたいな洒落のわからない者を相手にうっかりお内証の愚痴なんかを語っちまったのが運の尽き、猫のほうじゃあ一途に真に受けちまいまして「合点だにゃあ」てなことをいったかいわないかはさておきまして、その通りにさる大店から小判を失敬して参ります。

それも一度こっきりでやめときゃあよいものを、これに味を占めてもう一回とゆうことになりますてぇと、昔っから「犯人は必ず現場に舞い戻る」なんてことを申しますが、この場合は「にゃあ」のことでございますから、「犯にゃんは必ず現場に舞い戻る」とゆうのが本当のところでございまして、まあ、そんなことはどうでもいいんでございますが、この感心なにゃあが可哀相に袋だたきに遭いまして到頭ぶち殺されてしまいました、これが本所回向院は猫塚の縁起とゆう一席でございますが、こうゆうお噺が残っておりますくらいですから、回向院さんてぇのはその名の通り「生あるものを須く回向する」とゆう結構なお考えからペット葬儀の本場でもございます。

まあ、こんなお噺がございますので猫といっても莫迦には出来ない、あたしのウチにも無駄飯喰らいの「にゃあ」が二匹ばかりおりますが、これを相手に迂闊なことをゆうと何をするかわからないてぇことで、真逆におあしを引いても参りますまいが、たとえばあたしが不図何心なく「美味いハンバーグが喰いたいなぁ」てなことをポロッと口にしてしまったといたしましょう。

ウチの連中がこれを聴き附けて、もしも柄にもない善心を起こして「たまにはお父さんの喜ぶことでもしてあげようかしらにゃあ」、まあそんな余計なことを止しゃあいいのに考えますてぇと、これが一大事でございます。

この毛むくじゃらのが「お父さんに美味しいハンバーグでも食べて戴こうかしら」…ええ、ここは一つ枝雀師匠の調子でお読み願いますが、そんなようなことを考えますとゆうと、夜中にふたりでそ〜〜〜っと台所に立ちまして、こう、冷蔵庫から合挽の良いところ、それから玉葱の大きいのを一つ、幾つか玉子も取り出しまして、戸棚からパン粉だメリケン粉だといろいろ取り揃えて参ります。

ところが猫に玉葱は大の禁物でございますから、どちらもこれを刻もうとゆうのがいない、「お姉さんおやんなさいよ」「あたしはいやよ、あんたおやんなさいよ」「なんですか、お姉さんはあたしに死ねと仰るんですか」「そうゆうあんたこそあたしを玉葱で盛り殺そうてぇ料簡なのかい」てなことで圧し附け合いが始まりますな。そうすると、たださえ常日頃から仲の良くないのが一緒に何かをしようてな料簡が土台大間違いでございますから、これが掴み合いの大喧嘩になりますな。

散々どったんばったんやらかしまして、皿だの茶碗だのをたたき割って、こう、ふたりとも肩で息を吐くような有様で…と申しましても猫の肩が何処なんだかよくわかりませんが、何でも背中のほうと申しますか首の後ろ辺りのぐりぐりしたところが猫の肩に当たりますそうで、その極々狭い肩で以てこうぜいぜい息を吐くとゆう、そんなような大騒ぎの挙げ句にようやく手打ちとゆう運びになりまして、これはもう、女の腐ったような陰険な女猫が二匹も揃っておりますから、この際、不都合なものは見なかったことにしよう、なかったことにしよう、そんなところに落ち着きますな。

それで以て所謂「暗黙の了解」とゆうやつで玉葱抜きのハンバーグになりますから、お姉ちゃんと妹がてんでにこう、挽肉やら玉子やらパン粉やらメリケン粉やらをてけとうにお鉢に放り込みまして、ふたりで手を突っ込んで…いやこの場合は猫ですから前のほうの足を突っ込みまして、ぺたぺたぺたぺた肉をこね始めますな。

そうすると、猫てぇものは存外に綺麗好きな生き物ですから、自分の毛に何かベタベタしたものが附きますと、こう、必死になってぺろぺろっと舐めちまう。このふたりもその御多分に漏れませんで、前足を突っ込んで肉をこねるんですが、何かベタベタしたものがのべつくっつくもんですから、それが気持ち悪くてたまりません。こう、こねちゃあ舐めこねちゃあ舐めを繰り返しておりますうちに、大分肉が少なくなって参ります。

で、如何に畜生といえども「段々少なくなってきたにゃあ」てなことはふたりとも気附いておりますから、「お姉さん、そんなたくさん舐めちまったら何にも残りゃあしないじゃありませんか」「あんたこそ、のべつぺろぺろ〜ぺろぺろ〜って舐めちまってるんだから、それじゃ料理してんだか摘み食いしてんだかわかんないじゃないか」「姉さんこそ」「あんたこそ」「何をこの泥棒猫」「お互い様」てなことで、またしても掴み合いの大喧嘩がおっ始まりますな。

それで以て、やっぱり散々どったんばったんやらかしまして、皿だの茶碗だのをたたき割って、こう、ふたりとも肩で息を吐くような有様で…と申しましても猫の肩が何処なんだかよくわかりませんが、何でも背中のほうと申しますか首の後ろ辺りのぐりぐりしたところが猫の肩に当たりますそうで、その極々狭い肩で以てこうぜいぜい息を吐くとゆう、そんなような大騒ぎの挙げ句にようやく手打ちとゆう運びになりまして、これはもう、女の腐ったような陰険な女猫が二匹も揃っておりますうえに、不都合なことは見なかったことにしよう、なかったことにしよう主義のバリバリのシュギシャでございまして、それで以て所謂「暗黙の了解」とゆうやつでございますから、ふたりとも見す見す肉が減っていくのを承知しておりながら、お互い知らん顔をしております。

その少なくなったのがこね上がりますと、ちょっとずつ掬って小判型に纏めるわけでございますが、昔っから「猫に小判」と申しまして猫に小判は附き物でございますから、お手の物でここだけは何だか器用にこなしております。ただこれが、何分猫のことでございますから手の平が…もとい足の平が小さい、おまけにその手の平だか足の平だかにぷにぷにした豆粒みたいのがくっついておりまして、手一杯てぇとたったそれだけのもの、したがいましてどうしてもハンバーグが小さくなりますな。ハンバーグだか鰯のつみれだかわかんない、得体の知れない小判型の肉の塊がどんどんどんどん出来てしまいますな。

そのハンバーグだかつみれだかわかんないのを、手掴みだか足掴みだかで熱っついフライパンに放り込みますてぇと片っ端からどんどん焼いていくわけですが、困ったことに猫のやることでございますからこれが世間で申します通りの猫舌で、熱々のハンバーグの味見が出来ません。

それで以て「お姉さん、あんたやんなさいよ」「あんたこそおやんなさいよ」てな次第で、やっぱり散々どったんばったんが始まりまして、やっぱり皿だの茶碗だのをたたき割りまして、やっぱりふたりとも肩で息を吐きまして、やっぱり猫の肩が何処だかわかんないもんですから、まあいろいろありました挙げ句には、やっぱりバリバリのシュギシャの暗黙の了解に落ち着きますな。

焼き上がったハンバーグを前にふたり雁首並べてじぃっ    とこう睨んでいるばかりで、小一時間も経ちました頃にようやくカチカチに冷たくなったのをこもごもに一個ずつ満遍なく舐めまして、まあ猫の口には合いましたようで、美味しいわてな料簡でもう一回一個ずつ満遍なく舐めまして、まあ猫の口には合いましたようで、美味しいわてな料簡でもう一回一個ずつ満遍なく舐めまして、まあ猫の口には合いましたようですからもう一回、もう一回てんでキリがございませんな。どうにかこうにか得心がいって、まあこれでよかろうてんで飼い主を起こしに参ります。

この飼い主てぇのはつまりあたしのことでございますが、常日頃からどんなに疲れて寝ておりましても猫はそんなことを料簡しちゃくれませんから、夜中に便所に附き合えとかおまえがぐっすり寝ているのが何だか無性に気に入らないとか理不尽な理由でのべつ叩き起こされておりますから、叩き起こされ慣れております。

猫のほうでも常日頃から叩き起こし慣れておりますから、こう、あたしがぐっすり寝ておりますてぇと、計ったようにこの鳩尾の辺りに跳び蹴りを一発喰らわしまして、堪らず「ぎゃあっ」とかいって飛び起きると、こうゆう仕掛けになっておりますもんですから、どっちが猫でどっちが踏まれたんだかわかりゃしません。

そのうちこいつらに紙袋に押し込まれてポンと蹴られやすまいかと真剣に心配しておりますが、そんなことはさておきまして、こっちはもう心得たもんですから、猫に踏まれて起きるくらいなら猫に踏まれそうな頃合いを見計らって起きたほうが踏まれないだけ得ですから、こう、猫の跫がひたひたーひたひたひたーっと近附いてくるてぇと、どんなに熟睡しておりましても、来たな、踏むな、踏むな、今踏むな、ああ踏んだ、ほら、オレにはちゃんとわかってるんだ、とこう、大体の察しは附いておりますから、結局踏まれてしまいますな、ええ。

このときも結局踏まれてしまいまして、猫に叩き起こされますとゆうと、猫がこう、ついてこいてぇ身振りで台所に案内しますな。そうすると、皿は割れるは茶碗が割れるはでえらいことになっておりまして、そこら中に玉子だのメリケン粉だのが飛び散らかっておりまして、夜中に叩き起こされてこうゆう結構なものを見せられますと、心から底から哀しい気持ちになりますな。

こう、がっくり膝を突きまして「えらいことをやらかしておくれだね、おまいさんたちは」てなことを申しますと、猫が「よせやい」てな感じでそっぽを向きますから、「褒めてるわけじゃないんだよ、あんたらこれを片付けろてんであたしを起こしたのかい」と申しますと、猫が小っちゃい手で「ちゃうちゃう」と、こう申しますものですから、不図お膳の上を見ますと最前のハンバーグがお皿に並んでおります。

ああこのヒトたちはあたしにご馳走してくれようとてこんな大騒ぎを起こしたのか、大きに有り難迷惑ではあるけれど、その志が嬉しいじゃないか、てなわけで早速ご馳走に与るわけでございますが、熱ければ格別、猫が味見をするてんで小一時間の剰りもほったらかしにしといたもんですから、これがもうカチカチに冷たくなっておりまして、おまけに奴らが上っ面をすっかり綺麗に舐めたもんですからバサバサに乾いております。

そのカチカチのバサバサになったつみれだか何だかわかんない小っちゃい得体の知れない肉の塊を一口囓りますと、これが玉葱も何にも入っていないもんですから、生の肉の味しかしませんな。おまけに猫てぇものは塩がなくても生きていかれる生き物ですから何の味附けもしておりません。

カチカチのバサバサになったつみれだか何だかわかんない小っちゃい得体の知れない肉の塊が何の味もしないもんですから、これが生臭いばっかりで人間様の喰えたもんではございませんで、おまけにこう、毛むくじゃらの生き物が毛むくじゃらの手だか足だかで手一杯にこねたもんでございますから満遍なく細かい毛がまぶしてございまして、これを一皿戴いたらこっちの腹にも立派なヘアボールが出来ようてぇ勢いで。

猫の代わりに散々踏まれたり蹴られたりした挙げ句に腹ん中にヘアボールまで出来ますてぇと、そのうち猫代わりどころか本物の猫になっちまいますから、こう、箸を置きまして猫どもを手招きいたしますとますます猫みたいな気分になって参りますが、猫のほうじゃあ一途に「良いことをした」と思い込んでおりますから、素直に飼い主のところにやってきますな。

これを頭ごなしに叱りつけるのも気の毒でございますから、ハナは下手に出て「はいはい美味しうござんしたよ、おまいたちよくご馳走しておくれだね」てなところから説き起こしまして、「しかし、おまいたちはあたしが三度三度のおまんまを用意するものだから、食べ物の値打ちとか有り難みというものを識らないのがいけませんよ、ご馳走してくれるのは有り難いけど、こんなに食べ物を粗末に散らかしてしまっちゃあ、その志も台無しとゆうもんじゃないかね」とこう、諄々と、切々と説教するわけなんでございますが、猫のほうじゃさっぱり得心がいっておりませんで、「はて?」とゆう不審な顔をして小首を傾げておりますな。

「もう、焦れったい奴らだね、飼い主の宛い扶持だからっておまんまの値打ちがわからないのはいけないよと、こうゆってるのがどうしてわからないのかねぇ」てなことを申しますと、猫のほうでも段々わかって参りまして、とくに姉のほうはこまっしゃくれておりますもんですから、澄ました顔してこう申しますな。

「お父さん、猫におまんまの値打ちがわからないのは当たり前でござんすよ」

…とまあ、こんな生意気なことを申しますもんですから、あたしも勢い込んで「なんでだい」と申しますと、妹のほうが一言、

「だって昔っからゆうじゃないですか、『猫にごはん』て」


お後がよろしいようでございます。

|

« ものはみなうしなはれ | トップページ | 厭な連想 »

コメント

意外と古典落語でもこんな脱力する地口オチが多いんだよなぁ(笑)。

投稿: 黒猫亭 | 2009年3月31日 (火曜日) 午前 08時37分

こんにちは。波乱万丈の週末を過ごされてなお絶好調のご様子、何よりでございます。

米朝師匠のご容態は心配ですね。「だんだん」の「クララが立ったー!」は呪いではなく祈りなのだと思いたいです(ちょっと先取りし過ぎでしたが)。

煮豚はお気の毒でございました。次回は塩豚なぞいかがでしょうか。

投稿: 604 | 2009年3月31日 (火曜日) 午後 03時32分

>604さん

>>波乱万丈の週末を過ごされてなお絶好調のご様子、何よりでございます。

いやもう、手間は仕方ないですが、不時の物入りにはうんざりします。バタバタしていたのでまだSHTも観ていないんですよ。

>>「だんだん」の「クララが立ったー!」は呪いではなく祈りなのだと思いたいです(ちょっと先取りし過ぎでしたが)。

「だんだん」が何だかわからなかったので検索してみたんですが、そんなタイムリーな話でしたか。まあ、報道によればあまり重い脳梗塞でもないようなので、生活には支障がなさそうですね。もう八三歳ですから、現役と謂う年齢でもないのですが、弟子筋のほうで不幸が相次ぎましたから、のんびり隠居するというわけにもなかなかいかないのでしょうね。

>>煮豚はお気の毒でございました。次回は塩豚なぞいかがでしょうか。

塩豚もいいんですが、そのまま酒のアテに喰うわけではないので、煮豚のほうが使い出があるのですねぇ。炒飯やラーメンには欠かせませんから。

投稿: 黒猫亭 | 2009年4月 1日 (水曜日) 午前 04時53分

 ガメラレーダの検索関連で、最近見かけた駄洒落を幾つか…

曰く、
「金ちゃんノドンと行ってみよう」
曰く、
「矢でもテポドンでも持ってこ~い」
曰く、
「4月4日の天気予報は、
      晴れ、時々テポドン 」

 …時事ネタは、生臭くていけませんな。

投稿: ガメラ医師 | 2009年4月 3日 (金曜日) 午後 12時37分

>ガメラ医師さん

TVで「ガメラレーダー」なんて単語を聞くとドキッとしますね、一瞬ガメラを捉える専用レーダーなのかと勘違いしました(笑)。

オレもちょっと因んだダジャレを考えてみて、

「NHKノドン自慢」
「貧すればノドンす」
「言い出したらテポドンでも動かない」

…とか思い附いたんですが、調子に乗って続けると、そのうち怒られそうなのでやめときます(木亥火暴!!)←これも時節柄まずい

しかし、何と謂うかニュース映像でも、平成三部作の世界と謂うか伊藤和典の世界と謂うかぶっちゃけ押井守の世界が展開されていますなぁ。考えてみればキューバ危機並のえらい事態になっていると謂うのに、世間のほうじゃまったく緊張感もないと謂うのがかなり不気味ですが、まあこれまでがこれまでだから、誰も本気で心配していないのかもしれません。

投稿: 黒猫亭 | 2009年4月 3日 (金曜日) 午後 01時17分

こんばんは。

まぁ、なんと言いますか、台所の状況が目に浮かぶようですな(木亥火暴!!)。

もちろんこれは実体験に基づくお話であることは容易に想像が付くわけですが(笑)、黒猫亭さんが養っていらっしゃる娘さんたちの性質からしてこうなる可能性があると言うことは百も承知でいらっしゃったのでしょうから、「お気の毒に・・」のせりふの傍ら、口の端がやや持ち上がってしまうのを止めることはできません(木亥火暴!!)。

このほかにも大変な目にあっていらっしゃるようですが、この娘たちの所業に関しては同時に娘たちが黒猫亭さんの生きる糧になっているわけですから、致し方ありませんね(笑)。

このあたり、うちも似たような状況があるわけですが、お互い、手のかかる娘を抱えていますとよけいに健康の大事さが身にしみますな(木亥火暴!!)。

投稿: がん | 2009年4月 4日 (土曜日) 午前 12時09分

>がんさん

>>もちろんこれは実体験に基づくお話であることは容易に想像が付くわけですが(笑)

さすがにオレの為に夜食を作ってやろうとするほど殊勝な心懸けを持っている奴はいないですが、「掴み合いの大喧嘩」は完全に実録ですね(木亥火暴!!)。

猫の前足は構造的に相手の胸倉を掴んだり出来ないはずなんですが、どう視ても掴み合いをしているようにしか見えないのがほのぼのしますねぇ(木亥火暴!!)。人間の場合もそうですが、猫の喧嘩もハタから見ていると実にくだらないことから始まりますな。月夜がコルクマットの上で仰向けになって寛いでいると、何故か決まって摩耶がちょっかいを出しに来て、優しく毛繕いをしてやるようなフリをして姑息なイヤガラセをするんですな(笑)。

月夜のほうは、常日頃からオレが「なるべく姉ちゃんには逆らうな」と言っているのでしばらくは我慢するんですが、摩耶があんまりしつこいのでそのうち堪忍袋の緒が切れて怒り出して、後はもう掴み合いの大喧嘩になりますな。最初のうちは仲裁したものかどうか考えたんですが、まあ猫の世界のことに人間が口出しをするのも良くないと思って放置しております。

猫の喧嘩と謂うのは、ハタから見ている分には面白いので、思わずアテレコをしたくなるんですが(木亥火暴!!)、それも飼い主としてどうかと思いますので、こう謂う形で遊んでみました(笑)。

>>このほかにも大変な目にあっていらっしゃるようですが、この娘たちの所業に関しては同時に娘たちが黒猫亭さんの生きる糧になっているわけですから、致し方ありませんね(笑)。

まあ、この連中がいるから頑張って生きていかれるようなもので、今時猫のような生き物を飼っていても何かの役に立つわけではないのは当たり前なので(笑)、元気で長生きしてくれればそれでいいかな、と。

投稿: 黒猫亭 | 2009年4月 4日 (土曜日) 午前 06時14分

ディスプレイを見ながらゲラゲラ笑っていたら、配偶者にちょっぴりコールドな視線をいただきました。
どうしてくれますか(爆)

黒猫亭とむざう師匠の高座をぜひ拝見したいものです。

投稿: 山形ミクラス | 2011年6月 4日 (土曜日) 午後 05時16分

>山形ミクラスさん

>>配偶者にちょっぴりコールドな視線をいただきました。

…あなたの悪事を完全ホールドされたのですね。ここは一番、野太いオヤジのタナ声でキューティーエスケープをですね(ry

>>黒猫亭とむざう師匠の高座をぜひ拝見したいものです。

リアルで見たいなら上京して戴くしかないですが、似たようなネタを上げましたのでご笑納ください(笑)。

投稿: 黒猫亭 | 2011年6月 8日 (水曜日) 午後 02時47分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/136645/44519056

この記事へのトラックバック一覧です: 猫まま:

« ものはみなうしなはれ | トップページ | 厭な連想 »