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2009年9月25日 (金曜日)

昆布の妖精

オレの郷里の石川県は、隣県の富山県ほどではないが、とろろ昆布の消費量が多いところではないかと思う。碗にとろろ昆布をつまみ入れ醤油を一垂らしして湯を注ぐ吸い物は親父がよく飲んでいたが、正直オレはそんなに好きではない。

ただ、遠足や運動会の弁当の握り飯をとろろ昆布やおぼろ昆布で包んだものは割合好きだった。調べてみると、おぼろ昆布の握り飯と謂うのは富山県ではポピュラーな喰い物らしく、コンビニでも普通に売っているそうだが、流石に石川県はそれほどでもないとは謂え、それなりにポピュラーであることは間違いない。

オレもたまに喰いたくなることがあるが、とろろ昆布よりもおぼろ昆布のほうが飯に合うような気がして好きである。まあ、普通の関東人でとろろ昆布とおぼろ昆布の違いを識っている人もそうそう多くはないだろうが(笑)、とろろ昆布と謂うのは酢に漬けて柔らかくした昆布の板を細かい繊維状に掻いたもので、おぼろ昆布のほうは薄い鉋屑のようにシート状に掻いたものである。

ウィキによると、とろろ昆布のほうは機械で掻いたものでおぼろ昆布は職人が手で掻いたものだと謂う説明があるのだが、それだとこんな値段では引き合わないような気がするのだが(笑)、たしかにとろろ昆布よりもおぼろ昆布のほうが一般的に値段が少し高いような気はする。

製法を視ればわかる通り、少し甘酸っぱい乾燥昆布の味で、水気に触れると食物繊維の粘りが出る。握り飯としてはどちらも用いるが、とろろ昆布で包んだもののほうが口当たりがモソモソしていて口に入れると少しねっとりした食感になる。これはこれで美味いのだが、おぼろ昆布のほうはシート状になっているだけに、しっとりした海苔のような歯触りで、もう少しサッパリした食感である。そんなに昆布好きではないオレにはおぼろ昆布の握り飯のほうが美味く感じられる。

北陸でとろろ昆布と謂えば、誰でも識っているのが「ヤマトのとろろ昆布」のCMソングだろう。

とろりとろりとんとろり
とろりヤマトのとろろ昆布
肌理は細かく柔らかく(サテ)
荒海育ちの味の良さ
とんとろり ヤマトの昆布
とんとろり ヤマトのとろろ昆布

このCMソングがあまりにも身近なものだったが故に、この「ヤマト」と謂うのがどのようなブランドか深く考えたことはなかったが、調べてみると福井県敦賀市にあるヤマトタカハシ株式会社と謂う企業の商品であるそうな。

たしかに敦賀市は昆布加工業が盛んな土地柄であるし、地図上では左から順に福井、石川、富山、新潟と並ぶ形になるから、北陸及び新潟で流通している「ヤマトのとろろ昆布」はヤマトタカハシの商品と視て間違いなさそうだが、ただ、会社沿革を視ると元は株式会社高橋商店と謂う商号で、八七年にCIブームに乗って現在の商号に変更したようだから、オレの子供の時分からある「ヤマト」と謂うブランドネームが何処から来たんだか公式サイトを読んだだけではわからなかった。

流石にマイナーな企業らしく、公式サイトも申し訳程度の情報しか載っていないし、普通ならメインコンテンツのはずの商品紹介がデッドリンクになっている辺り、少なくともネットで周知を図ろうと謂う色気はないようである。

そもそも、「ヤマトタカハシ」でググると、本社の公式ではなく東京営業所のグーグルマップがトップに来る辺り、まったくやる気がない。しかも、リンクをクリックするとヤマトタカハシ公式ではなくEC部門の昆布館のサイトに行ってしまう。ブランド名も「KONBUKAN」となっていて、敦賀市と北海道亀田郡にある昆布館の商品であるかのような見え方で、ヤマトタカハシと謂う企業名は殆ど表に出て来ない。

流石は北陸随一の地味な県である福井の企業だけあって奥床しい。公式サイトが投げやりな作りなのは、昆布館ブランドを表に立てて企業名はあまり前面に出さない方針に基づくものらしい(笑)。

検索でヒットするのもほぼこの二つの昆布館に関するものばかりで、実質的には昆布館の母体企業みたいなイメージなのかもしれないが、その「昆布館」なる施設とは何ぞやと調べてみると、まあ誰でも想像する通り昆布博物館的な施設で、なかなか楽しげなところである。中でもオレの目を惹いたのは、「ファンタジーロード」の説明文で、

昆布の精をイメージした女性が「昆布の森」を優雅に泳ぐシーンがファンタジックに展開されています。

…とあるのだが、「昆布の精をイメージした女性」て(笑)

この説明文を読んだだけではどんな展示物なんだかサッパリ想像が附かないのだが、流石に図面を視る限りではこの狭い区分にプールが設置してあって生身の女性が昆布の精のコスプレをして泳いでいるわけではなさそう(笑)だから、何かのグラフィックなんだろうと思うが、「昆布の精をイメージした女性」と謂う説明には、何と謂うか破壊的なインパクトがある(笑)。

一度見てみたいなあ、昆布の妖精(笑)。

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コメント

書いているうちに無性に喰いたくなって、冷蔵庫の残り飯で作ってみたのだが、やめときゃよかったなぁ(笑)。元々手先が不器用で美味く握り飯が握れたためしがないのに、冷や飯の温め直しではもっとハードルが高かった(笑)。おぼろ昆布も安物だからそんなに美味くないし、ちゃんと包むのが結構難しい。

…と謂うか、やっぱりこんなものは二個も三個も喰うものじゃないな(木亥火暴!!)。

投稿: 黒猫亭 | 2009年9月25日 (金曜日) 午前 07時58分

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