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2009年11月 5日 (木曜日)

山かけは通常の三倍の法則

料理の世界では、足し算が時に掛け算になると謂う不可思議な事例が数多報告されているものである(笑)。

最近山形ミクラスさんから「そぼろ玉子」と「とろろ飯」のエントリにコメントを戴いたので、頭の出来が単純に出来ているオレは、今日の昼飯を何にするかを足し算で決めてしまったと謂うわけである。

その名も、「そぼとろろ丼」である。←幾ら何でも足し算すぎるだろう(笑)。

つまり、そぼろ飯にとろろ汁を掛けただけの代物である。しかし、日本人ならそぼろ弁当が大好きでとろろ飯も大好きなのが当たり前であるから、この二つの足し算は絶対にイケるはずである。

早速冷蔵庫を改めてみたのだが、先日喰おうと思って冷凍庫から移しておいた合挽がすでに死兆星が見える状態になりかけていたので、今喰おうと思い立って好かったと胸を撫で下ろした。ウチのような大喰らいの貧乏所帯ではウェスト厳禁であるから、喰い物を無為に傷ませてしまうことは最大の罪悪なのである。

オレの想定では、この味附けなら鶏挽肉のほうが合うはずなのだが、そこは四の五のと贅沢を言わずにアリモノの合挽で我慢することにする。とろろ芋のほうは先日一本喰ってもう一本残っているから問題はない。基本はこれでOKで、薬味のネギも焼き海苔もあるし、ついでにアオサが一袋あるから、海苔を二種類使ってみよう。

四つ割ネギの小口切りを水に晒しておいて、芋を摺り始める。皮附きのまま下ろしたことはなかったのでちょっと試してみようと思ったのだが、よく考えてみると山かけに近い使い方なのだから、皮を剥いたほうが好かったと摺り下ろした後で思った。

併行して手鍋に半分ほど湯を沸かし、シマヤのダシの素を二袋くらいと干しシイタケを入れてみた。シマヤの粉末のダシの素は塩気がほとんど附いていないので、他社の顆粒状のものよりいろいろな用途に使いやすいし香りも良い。家庭用なら、うどんでもそばでも煮物でもこれで好いんじゃないかと、最近はこれ一辺倒である(笑)。

摺り下ろしたとろろにダシ汁を少しずつ摺り混ぜて伸ばし、溶き卵を半個分くらい混ぜ晒しネギを加えてとろろ汁のほうは完成である。そぼろのほうにしっかり味が附いているので、醤油はいつもより少なめにする。

次に、小振りのテフロン鍋を中火に掛けじわっと合挽を乾煎りにして、ひたひたに酒を注ぎ細かくほぐしたら、塩と黒胡椒で下味を附け、ちょっと煮詰める。前にも言ったことだが、オレはナツメグが好きなのでここでナツメグを入れるが、入れなくても勿論構わない。

酒が煮詰まったらそこにダシ汁をひたひたに注ぎ、ザラメを加え、ザラメが溶けたら醤油と味醂で味を調え、そのまま煮詰める。合挽だとやっぱり或る程度肉から脂が出るので、やっぱり鶏挽肉にしたほうがサッパリしていて好かったと思ったのだが、まあそんなに合わなくもないだろう。

肉だけだと寂しいので、本当なら生姜のみじん切りなんかを入れると美味いんじゃないかと思ったが、冷蔵庫には生姜がなかったので、赤くない柴漬けとダシ汁から取り出した干しシイタケをみじん切りにして入れてみた。焦がさないように煮詰めたら、肉や具に味を含める為に火から降ろしてゆっくり冷ます。多分、一時間くらい冷ましておけばいい具合に味が浸みるだろうと思う。

合挽のそぼろそのままだと脂っぽいので、脂と馴染みの良い葉物は何かないかとさがしてみたら、レタスがちょびっとあったので、短めの千切りに刻む。これは食感のアクセントと脂を受けさせる為なので、ほんの少しで好い。炊きたての白飯を大きめの丼によそい、片方だけ縁に近いほうに少し隙間を空ける。

飯の上にレタスの千切りを敷き、その上にそぼろを載せたら、アオサを少し彩りに掛ける。そこに半分くらい掛かるようにとろろ汁を掛け廻し、飯と丼の隙間に流れ込むように注ぐ。この場合、とろろ汁はケチらずとろろの海になるくらい大量に注いだほうが美味い。お好みで炙った焼き海苔を揉み散らして、完成である。

喰い方は、基本的にそぼろととろろ汁と飯をお好みのやり方で混ぜながら喰うが、そぼろと飯、とろろ汁と飯と謂うふうに片方ずつ混ぜて喰っても楽しめる。挽肉ととろろ汁なんて、合うのかどうか半信半疑で作ってみた実験賄いだが、オレの味覚では、合う。

ただ、しつこいようだが、多分この味の組み合わせなら、鶏挽肉のほうが断然美味いとは思う(笑)。合挽だと脂と肉の旨味が強くてかなりどっしりとした感じの食べ応えになるから好きずきだが、サッパリした味のほうが和風っぽいかな、と思う。

アオサと焼き海苔ってのも海藻尽くしで少し諄いかと思ったのだが、意外と全然味わいが違うので面白いアクセントになった。今回は保険の為に(笑)とろろ汁をちゃんと作ったが、この感じなら、ただ単に卸し金で下ろした白いとろろを掛けて、普通に山かけ丼風に作っても大丈夫じゃないかと思う。

改めてとろろの包容力の大きさに敬意を抱いた次第である(笑)。

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コメント

黒猫亭さんの献立に干渉してしまうとは、私も出世したものです(爆)

今、夕食を食べ終わったばかりなのに、何でこんな美味しそうなレシピを紹介しますか。
私のウエストがこれ以上膨らんだら、黒猫亭さんのせいにしますよ。←やめとけ
次回は、包容力では負けない玉子も加えてください。←いやそれはどうか

投稿: 山形ミクラス | 2009年11月 5日 (木曜日) 午後 07時33分

>山形ミクラスさん

食欲とは不思議なもので、不図した折に耳にしたり目にしたりした片言隻句がきっかけでどうしても或る特定の喰い物のことが頭を離れなかったりしますなぁ。山形ミクラスさんのお陰で、どうも今朝方からそぼろととろろのことが思われてならなかったので、面倒なので両方一遍に喰ってみようと考えた次第です(笑)。

いろいろ細かいことを書きましたが、結局「山かけにすると通常の三倍美味い」と謂う法則に行き当たりました(笑)。ただ、今回はちょっと改善の余地ありですねぇ。

一つはしつこく書いた鶏挽肉の件ですが、それ以外にも、芋を皮ごと摺り下ろしたのもちょっと失敗だったかなと思います。好みは人それぞれですが、どうも皮ごと摺り下ろすと、ちょっと柿の渋に似たえぐみがあるような気がします。自然薯だったらどうかはわかりませんが、普通に売っているヤマトイモだと皮は剥いたほうが好いと思います。

>>私のウエストがこれ以上膨らんだら、黒猫亭さんのせいにしますよ。←やめとけ

そうすると、みつどんさんとかどらねこさんとかうさぎ林檎さんのほうが人様の恨みを買っていそうですね(笑)。ウチは主にオレが横着なのと台所がキタナイので人様に見せたくないと謂う理由で画像は附けていませんが(笑)、美味い料理を紹介するのみならず美味そうな画像まで附けるなんて犯罪ですよね(笑)。

投稿: 黒猫亭 | 2009年11月 5日 (木曜日) 午後 08時22分

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