2010年11月 3日 (水曜日)

御伽噺を信じられないオレ(笑)

水嶋ヒロ受賞の一報を耳にして、オレがまず想ったことは、更めて披瀝するにも及ばないだろう。何と謂うか、下司の勘繰りと誹られても仕方ないが、「ああ、こう謂う筋書きになってたのね」としか思えない。

ポプラ社と謂うのは一応身許の確かな版元だと思うが、「ポプラ社小説大賞」と謂う文学賞に関しては、賞金二〇〇〇万円の大型文学賞の割には世間的な認知度が殆どゼロ、第一回の募集で受賞者が出たきり、第二〜四回までの三年間大賞該当作なしの状態が続き、第四回に至っては大賞、優秀賞共に該当作なし。

今回二〇一〇年の第五回は、大賞を水嶋ヒロが獲ったが優秀賞の該当作はなく、特別賞と奨励賞のみ、そしてヒロは賞金を辞退と謂うことになれば、つまり第一回大賞受賞者の方波見大志以外一度も実際に二〇〇〇万円の賞金が支払われたことはないと謂うことで、その後の二回は優秀賞の五〇〇万円しか支払われず、第四回に至っては優秀賞すら該当作がなく、第五回も大賞受賞者は賞金辞退で優秀賞は該当作なしなのだから、実質的にはやっぱり同じことである。

つまり、「二〇〇〇万円の巨額賞金」なんてのは「見せ金」みたいなものである。

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2010年5月29日 (土曜日)

…あの娘のなんなのサ?

入院中に何冊か小説を読んだ。

すでに書いたように、治療が点滴中心で朝食後から消灯まで概ね横になっているような生活だったので、普通の人がイメージするほど本を読む余裕はなかったが、実弟が見舞に差し入れてくれた文庫本をパラパラめくってみて、「そう謂えば家にいたら猫が邪魔して本が読めないな」と思って、点滴後ロビーに出て一二時くらいまで本を読むようにしていたのである。

実弟のチョイスは「時をかける少女」「閃光」「アルバイト探偵」の三冊で、大概どうかと思うようなテケトーなセンスだが、活字に飢えていたので「アルバイト探偵」以外は続けて読了した。流石に五〇近い歳になると「軽ハードボイルド(死語)」など気恥ずかしさが苦痛で一〇ページ以上読み進むことが出来なかったが(笑)。

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2010年5月 9日 (日曜日)

加農法

…と謂うわけで廻り諄い同音異義語ネタから始まるのだが(笑)、日本語で謂う「カノン砲」の「カノン」が英語ではなく蘭語起源だったと謂うのは今回調べてみて初めて識った。英語だとnが一個多いだけで全く同音なんだがな。

言うまでもなく本題は「大魔神カノン」なのだが、実は某情報源を通じて具体的な設定は大分前から識っていた。ただ、そのときに聞いた印象だともっと不思議コメディ色の強い明朗調なんだろうと予想していて、そもそも高寺Pは日笠Pの下で不思議コメディを担当していたんだから、東映離籍後の第一作は原点回帰ってことで(笑)。

蓋を開けてみると、これが「ここまでかよ」と感心するくらい「響鬼アゲイン」なテイストだったのにはかなり意表を突かれたと謂うか、考えてみれば中途降板と謂う心残りな経緯を踏まえているのだから当たり前と謂えば当たり前な流れではあるが、響鬼でやりたかったことを今度こそ完遂したい、乃至は、響鬼でやれなかったことを今度はやってみたい、そう謂う意欲が伝わってきた。

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2010年5月 5日 (水曜日)

「それ」は「ネットに氾濫」しているのか?

GW中は何処のお父さんも家族サービスに忙しいようだが、その事情は毛むくじゃらの扶養家族を二匹抱える我が家でも変わりはない。しかし、犬と違って徹底したインドア派愛玩動物である猫の場合、「家族サービス」とは即ち「一日中家にいてかまってあげること」だったりするので、結局休みの間中何処へも行かずに家に引き籠もっていた。

ただ家でゴロゴロしているのも無駄なので、この際洗濯や掃除などの家事に勤しんでいたのだが、こんなに時間が有り余っていると謂うのに、ちっともブログネタが思い附かず、余所様のエントリに書き込みをするのが精一杯だった。今年はなかなか仕事が堅調だったので、これまでのように一つ事を突き詰めて考察する余裕がすっからかんになっているのだなぁ、と更めて思った次第である。

しかし、連休中にTVで見掛けたこのニュースだけは見過ごしには出来ないだろう。

児童ポルノ閲覧遮断、接続業者に自主規制要請へ

 【ワシントン=古川肇】インターネット上に氾濫(はんらん)する児童ポルノ対策として、政府はプロバイダー(ネット接続業者)など関連業者に対し、有害サイトの閲覧を強制的に遮断する「ブロッキング」の実施などの自主規制を求める方針を固めた。

 ワシントンを訪問中の原口総務相が2日夜(日本時間3日午前)、同行記者団に明らかにした。

 全閣僚による犯罪対策閣僚会議(主宰・鳩山首相)を来月中に開いて、ブロッキングを含む包括的な児童ポルノ対策を策定し、今年度中にブロッキングを実施することを目指す。

 総務省は今月中旬にもブロッキングの法的課題を整理し、警察庁が違法性などを考慮して関連業者からのヒアリングも踏まえてブロッキングの対象とすべき有害サイトの基準とリストをまとめる。政府はこうした取り組みを踏まえ、業者側に自主規制の実施指針の策定を求める考えだ。

 政府はこれまで、ブロッキングのあり方について、「児童ポルノ排除対策ワーキングチーム」(議長・大島敦内閣府副大臣)で検討してきた。警察庁が「業者の社会的責任」を理由に幅広くブロッキングを行うべきだとの立場なのに対し、総務省は「通信の秘密を侵しかねない」との理由から、「緊急避難措置」として例外的に行うべきだと主張するなど見解が分かれていた。
(2010年5月4日03時07分  読売新聞)

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2010年4月12日 (月曜日)

アンドロイドはそもそも夢を見るか?

一カ月以上前にどらねこさんとお約束を交わしておきながら、今まで纏まったものが書けずに放置していたのがエドマンド・クーパー作「アンドロイド」の書評である。

如何に我が家が読書に適していない環境(主に「特定外来生物による家庭環境等に係る被害」が原因で)だとはいえ、往復の通勤で毎日二時間くらい読書の時間が取れるのであるから、左程厚みのない小説の一冊くらい半月前に読了していた。

しかし、今年に入ってからどうも週末の酒量が増えてしまっていて、「朝起きて酒を呑んで昼飯を喰って寝る」「夕方起きてまた酒を呑んで晩飯を喰って寝る」の二ラウンドマッチに終始して纏まった文章が書けずにいた(笑)。

…とまあ、言い訳の中身は一向変わり映えしないのだが(笑)、たまにはちゃんとしたものを書かないと存在を忘れられてしまうので、酒を呑んで飯を喰って寝る合間にこれを書いている(笑)。

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2010年3月11日 (木曜日)

こんな男が何故三選を果たしたのか

コメント欄でうさぎ林檎さんに教えて戴いたのだが、どうやらあのアタマの不自由な都知事がまた世界征服の悪計を画策していたらしいので、急遽お知らせ。下記はうさぎ林檎さんにご紹介戴いた、作家・藤岡真氏の記事である。

都民に告ぐ(2010/03/08)

  すでにご存知の方もいらっしゃると思いますが、2月24日に、東京都青少年健全育成条例の改正案が出され、その中に、「非実在青少年」(つまり実写でなく、マンガ・アニメ・ゲームに出てくる青少年)への規制が盛り込まれています。
これは、 「年齢又は服装、所持品、学年、背景その他の人の年齢を想起させる事項の表示又は音声による描写から十八歳未満として表現されていると認識されるもの」と規定されており、つまり設定が18才以上になっていても、「18歳以下に見えれば」ダメ、ということです。
 つまり、国の方で何度も改正(改悪)が話題に上りながらも、反対が多く先に進まないでいる「児童ポルノ法」における、「単純所持規制」(=とくに売買する意思を持っていなくとも、「児童ポルノにあたるもの」を単純に「持っている」だけで逮捕)、「マンガ・アニメ・ゲームその他、画像として描かれる青少年の姿にも児童ポルノ法を適用する」というもくろみを、都の条例で先に決め、規制してしまおうという法律です。

※藤岡さんに直接ご指摘を戴いたのだが、前掲記事は編集者・評論家である藤本由香里さんのmixi記事の転載と謂うことである。

細かいことはリンク先を読んで戴くとして、キタナイことを考えるよなぁ。この種の問題って、「国家レベルでは難しいが、自治体レベルなら比較的自由度がある」と謂う種類の問題じゃないだろう。国家のレベルでダメなら自治体のレベルではもっとダメに決まっているじゃないか、自治体住民と謂う限定された階層の上位に位置する国民と謂う最上位の階層で保証されている人権の侵害が問題になっているんだから。

自治体レベルのローカルルールでは、国家レベルでは制限のある行為に関して一定の自由度を与えると謂うのであれば問題はないが、「ウチの管轄地域では一定範囲で人権が停止されます」なんて乱暴なルールをローカルレベルでホイホイ決めても好いと考える地方議会の法感覚のひどさは、一度大掛かりな喝を入れて綱紀粛正が図られないといかんのではないかとあらためて危機感を覚えた。

とにかく、こんな知事が三選するような都政は危ない。石原慎太郎のようなマンガみたいな実在の「気違い都知事」よりも、東京国の皇帝になった黒岩省吾のほうが本物のマンガであるだけよっぽどマシな都知事である。勿論これは「良いベトコンは死んだベトコンだけだ」と謂う類の逆説だが(笑)。

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2009年10月21日 (水曜日)

らくだの災難

オレが落語を聴くようになったきっかけを作ってくださったのはhietaro さんで、就中上方落語の大ネタである「らくだ」を論じたエントリの影響が大きかったのだが、オレは残念ながらこのネタがそんなに好きではない。それについて、最近またあちらで話題になったので、今回はちょっとウチでも引き取って語ってみよう。

最初のエントリの日附を視たら今年の二月だったので、よく考えてみるとオレの本格的な落語歴って八カ月くらいなんだよなぁ(笑)。あれから集中的にいろいろ音源や動画を収集して聴き比べたり、いろいろ情報を調べてみたりしたので、自分でも何だか随分前から落語に親しんできたかのように錯覚していたのだが(笑)、本格的に聴き始めてからまだ半年ちょっとくらいなのである。

その短い間にいろいろ聴き込むうちに結構落語観の変遷もあったのだが、現状の嗜好としては、ネタの性格は上方落語のほうが好きだが、米朝一門以外はあまり聴く機会がなく、その分江戸落語は演者の層が厚いので大体半々くらいの割合で聴いている。

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2009年10月 2日 (金曜日)

モダンなホラー

今回は久しぶりに落語の話だが、厳密に言うと落語ダネではあっても講談師が語っているので講談と謂うことになる。すでに時季はすぎてしまったが、タイトル通り怪談の話である。

ポッドキャスト落語の老舗格「ニフ亭寄席」が配信を停止して以来、残ったメジャーなポッドキャスト落語はフジテレビの「お台場寄席」とピザハットの「ピザハッ亭」だけになってしまったが、ピザハッ亭のほうは演者が好みではないのと更新頻度が少ないのが難で、毎週曲がりなりにも楽しめるのはお台場寄席だけになった。この他、落語協会のインターネット落語会でも落語を動画配信しているが、これはDL不可なのでPCがないと観られないと謂うハンディがある。

このエントリの為に久しぶりにニフ亭のサイトを覗いたら、有料コンテンツ化に向けて検討を重ねているようなので、ご興味のおありの方はポチッとして戴けると有り難い。二つ目中心の人選なので、一本一〇〇円くらいだとちょっと微妙だが、まあ多分ペイするのがその辺りなんではないかと思う。

さて、お台場寄席のほうは落語に限らず寄席芸能を幅広く採り上げるのが特徴で、逆に謂えば講談や色物の割合が多くて落語ファンには少し物足りないところもある。まだしも講談や漫談・漫才なら話はわかるが、奇術なんかまで音声配信するので、つまらなくはないものの、もう少し落語が多くても好いんではないかと思う。

先週の配信は一龍斎貞水の「江島屋怪談」で、恥ずかしながらこの配信の解説で初めて識ったのだが、講釈・講談の世界でもこの一龍斎貞水が人間国宝に指定されているとのことである。六十代半ばのことであるから、落語界の二人よりも一回りくらい若くして指定を受けている。

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2009年8月30日 (日曜日)

DCD #31

恐るべき既視感。以上。

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2009年7月20日 (月曜日)

Men's Onlyなんて何処にも書いてない

某所の遣り取りで少し驚いた…と謂うか更めて痛感したのは、「女性にとってこの問題は飽くまで他人事感覚や被害者視点に特化した問題なんだな」と謂うことである。たしかに児童ポルノ法と謂うのは児童の性的虐待からの人権保護を目的として制定された法律であるから、主に女児が被害者として想定され成人男性が適用対象として想定されていることには間違いない。

世間一般の認識としても、「キモヲタの夜のオカズを取り上げる法律」くらいの感覚なのだろうと謂うことを、更めて確認した次第である。

しかし、大本の児童ポルノの問題や三号定義の問題を突き詰めて考えるなら、これは別段男性に限った話でも何でもない。当該法で扱われているのは飽くまで「児童」に関する性的な表現物なのであるから、女児だけに限った話でも何でもなく、当然男児も含まれるわけだし、また、法を犯す者に男女の隔てなど原理的には在り得ない

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