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Act.3 高まるのは何か?

さて、期待と不安が高まる「たかまる」演出だけど(笑)、オレ個人とし
ては、このヒトが演出に参加した「らしい」ドラマをけっこう観ている
ので、タッチはある程度予想していたとおり。クイズ形式のやりとりが
マジモンのクイズのセットで演じられるベタなネタは、監督のネタ出し
だと思う。

それに、彼の日記でMAが難航したようなことを書いてあったけど、い
かにもフジのコメディドラマみたいなにぎやかしのSEがバンバン入っ
てて、こんなモンのために難航したのかと小一時間(木亥火暴!!)。畑が
畑だけに、CXくささが随所に見られたな。

ラストでレイちゃんが加入を断り立ち去る姿を見送りつつ、「えっ?」
というワンテンポ遅れたうさぎのリアクションで次週に引く呼吸など、
ぼくドラ辺りで見慣れたセンスだね(笑)。このラストシーンの劇判なん
て、もう少し穏やかなものでも良かったはずなんだが、今にも妖魔でも
出現しそうな選曲になってる辺りの大袈裟さも含めて、やはりフィルモ
グラフィーが語るとおりの演出スタイル。

そういう意味では、ドラマ部分はこういうテイストなんだと思えば大し
たアラは見られないし、「映画青年が丹念に基本的な技法を駆使しまし
た」的な絵作りは好感を持って観た。月野邸の夜景に亜美ちゃんのセリ
フを被せて、ワンカットで時制と状況を説明する辺りの映像的な経済セ
ンスは、いかにもオーソドックスな映画好きという印象だ。

しかし、特撮ヒーロー番組ならではのスピーディーなアクションシーン
ではちょっと…いや、かなりイマイチ。通常撮影とスローモーションの
素早い切り返しなど、東映特撮では二〇年前に確立した手法だし、二〇
年前の東映特撮のほうが格好良くて効果的だというのはどうなのよ。

そういう意味では、ジャンルのレガシー要素がまるっきり受け継がれて
いなくて、それもまあ、外部監督では致し方のないところだろう。

こういう部分では特撮プロパーでない(日記をしばらく読んだ限りでは
個人的にもその手の趣味はない)弱みが出ていると思うけど、研究熱心
なとこもあるようだから、他の監督の演出回を観て「やられた」と思え
ば、それなりに工夫してくるんじゃないだろうか…いや、してほしいと
ころだな(笑)。どういうふうにカットを割ればスピードとテンポが出て
くるかというのは、経験の範疇の事柄でもあるしね。

なんかこう、これは先入観なのかもしれないけど、全体的に頑張っては
いるが「いっぱいいっぱいで頑張ってる」的な余裕のない印象が目立っ
たなぁ。

撮影技法やSEの乗せ方、芝居の附け方、全部が全部ていねいにやって
はいるんだけど、そこはもうちょっとサラッと流したほうがテンポが出
るのに、とか、狙ってる線と違う行き方になってるのに目が届いてない
んじゃないか、という手慣れていない印象が随所に感じられた。

たとえば、ラスト近くでうさぎがタキを目で探す場面があるけど、二度
目に見返った視線がなぜか一旦下を向く。察するに、その視線の先は一
段下がってる地勢で、演じてる沢井からすれば視線を落とすのが自然な
芝居なのかもしれないが、カメラアングルは人物で奥行きを附けたバス
トショットなので、視聴者からはそこまではわからない。ロングで全景
を押さえている画面設計ならそういう芝居もアリだが、ここでは明らか
に画面設計と芝居の組立がちぐはぐだ。

結果的には、うさぎが自分より背の高い人物を探すのに、足許を見回し
ているような滑稽な絵面になってしまってる。それじゃまるっきり阪神
巨人
の漫才だよ(木亥火暴!!)。

映像作品は、カメラで切り取られた画角内のショットが世界の構成要素
のすべてなんだから、ここはウソでも沢井の芝居を止めて、普通に見回
しているように「見える」芝居を附けるべきだったろう。

あと、後半の一連で、万寿閣に潜入する二人→護摩壇に向かうレイちゃ
ん→二人がレイちゃんをハケーン→倒れてる巫女の傍らに佇むレイちゃ
んという流れ、たしかに脚本上でも時間と移動速度の関係に誇張がある
んだろうけど、このくらいはアニメや特撮ではよくあること。

要はレイちゃんが画面に登場する間隔にタメをつくって、演出がその矛
盾に気附かせなければいいワケだが、ここをなんとなく普通の時系列の
感覚で演出して繋いでいるので、レイちゃんの行動をうさぎたちと同時
進行でそのまま追ってるような映像になってしまい、矛盾が矛盾にしか
見えない。こうしたジャンル作品の誇張に慣れている監督なら、タメを
つくるために芝居やカットの尺を伸ばしたり、場面を入れ替えたりする
ところ。

総じてたかまる演出は、結論は留保するが、もっと現場を掌握してジャ
ンル映像を研究し、経験を積んでほしいという、偉そうな「ちょっと辛
口」感想になっちゃうな(木亥火暴!!)。

さて、肝心のレイちゃんなんだけど、前回の亜美ちゃん以上に芝居が辛
い印象だなぁ。それに、前回の予告でも出ていた札撒きシーンの鼻の穴
も凄かった
が、「め〜いく、あ〜〜〜っぷ!」と叫んだ眉の引きつり具
合もちょっとヤバい感じ(木亥火暴!!)。

こうして見ると、動いた顔の表情ということでは、やはり連ドラ出演経
験のある沢井美優がいちばんソツがないね。モデル出身の子が多いだけ
に、バンクの変身シーンや固定アングルでゆっくりした芝居をする場面
の顔のつくり方はきれいだが、激しい芝居で表情が激変する場面では、
自分の顔がどう見えてるのか意識が行き届いてない感じ。

まあ、赤の他人でオサーンのオレらが「この顔ヤバくね?」と思うくら
いだから、プロの雑誌モデルでもある本人たちにしてみれば、不本意な
表情がビデオメディア全盛時代の作品に固定されるのはまさに赤っ恥。
なりふり構わない芝居と顔のつくり方のバランスが取れてくるのは、本
人たちがOAを繰り返し見て、自分の出演場面をチェックできるように
なってからのことだろうね。

ただまあ、期待どおりメイクアップのバンクシーンは、三戦士随一のエ
ロさ
だったな。レオタの下腹部のアップがオーバーラップしながら画面
を横切ってスカートが出現するなんてサブリミナル演出、ちょっとエロ
すぎじゃねーか?(木亥火暴!!)

事前のスチルで見る感じでは、ちょっと変身後のメイク濃いんじゃねー
かと思えないコトもなかったが、色白美肌にナチュラルな黒髪というこ
ともあって、コスチュームの似合い方もオレ的には三戦士でいちばんだ
な。肉感的な口許とほっそりした首に巻かれた真っ赤なチョーカーの取
り合わせが、無闇にエロい(木亥火暴!!)。

ラストシーンと予告との繋がりで見る限り、先週ネタを振った「やっと
わかった」の件も、もう少し引っ張る感じではあるね。戦士の宿命があ
ったから異能が具わっていた、ボクはここにいていいんだ(木亥火暴!!)
という単純な話で終わりそうにはない。

「戦士の宿命」と「仲間になる」ことをイコールにせず、段階を踏んで
イニシエーションを描く以上、現状を肯定するために過去解釈を持ち出
すという段取りを一旦否定したうえで、あらためて「仲間」をキーワー
ドにして戦う目的を見出す手続が描かれるんだろうね。

そういう意味では、先週の亜美ちゃん話も、あれで目出度し目出度しで
はないという目配せが為されていて、小林脚本は相変わらず健在だ。

一人の友人ができることと、周囲に打ち解けることは別の事柄なんだと
いう当たり前の認識がここにはある。また、屈託なく母親と戯れ合うう
さぎを笑顔で見詰める亜美ちゃんという、今現在では演者・演出者とも
に今後の展開を知らない以上捨てカットでしかない伏線もあった。

当たり前の話ではあるけれど、女の子たちの関係がこういうリアルな現
実認識に基づいて描かれていくのであれば、いずれは、なるちゃんたち
従来の友人たちと戦士たちとの間に位置するうさぎの友情の葛藤、欠落
のない家庭を持つうさぎと、そうではない戦士たちとの対比
なども、こ
れから徐々に描かれていくのではないかと思う。

それが製作発表で言われていた「戦闘シーンよりも女の子たちの日常に
比重を置いて描く」ということなら、特撮的なカタルシスを少々犠牲に
してでも歓迎できる方向性だね。

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